自分のiPhoneでアドブロックアプリ(コンテンツブロッカー280)を利用し始めてから、広告に邪魔されないウェブ閲覧体験が快適です。このアドブロック利用率はどれくらいなんだろうと思い、調べてみました。数字は2016年のもので調査により幅がありますが、日本ではまだ利用率が少ないということが分かりました。
そもそもアドブロックとは何か
アドブロック(広告ブロック)とはその名称どおり、Webサイトやスマホアプリを閲覧しているときに広告が表示されないよう、広告をブロックする機能のことを示します。
特にiPhoneやAndroidなどのスマホでウェブサイトを見るユーザーが過半数を超えてきている現在、スマホの小さな画面上に大きく表示される(しかもその表示に時間もかかっています)広告は、PC画面上の広告よりもさらに邪魔なものになっています。
アドブロックツールはもともとPC向けに開発されていましたが、こちらのpagefairの図 (リンクはpdfです)のように、近年モバイル向けのアドブロックツールを利用している人が世界中で急激に増えています。
アドブロックツールを利用している世界中のデバイス数は、2016年末までに6億台を突破し、そのうち6割以上がモバイルでの利用になっています。
日本とアメリカのアドブロック利用率について
アドブロック利用率のデータはいろいろあったのですが、小さい数字としては日本が3%・アメリカが18%としているもの、大きい数字としては日本が10%・アメリカが24%としているものがありました。データは2016年のものです。
このうち大きい方の、日本が10%・アメリカが24%(そしてポーランドが38%・ドイツが25%・イギリスが21%)となっているdigidayの図を引用します。
性別で見ると、上記5カ国のいずれにおいても、男性の方が女性よりもアドブロックツールを利用するという結果になっています。
この図のデータソースは、ロイターが2016年に26カ国で50,000人以上に調査したものということですが、データソースへのリンクは見つけられませんでした。
日本でのアドブロックの今後について
日本においても、ウェブ閲覧の過半数を占めるモバイルにおいて、アドブロックは今後も間違いなく利用が増えていきます。その理由は大きく2つあります。
アドブロックアプリは利用が非常に簡単
アドブロックのスマホアプリを一回使うと分かるのですが、アドブロックアプリはとても簡単に利用することができます。私が自分のiPhoneで使っているアドブロックアプリも、インストール後に「広告をブロックするか」「SNSアイコンを非表示にするか」などのわずか数項目を設定するだけで、Safariでのウェブ閲覧時に広告を非表示にすることができます。
広告表示が無い状態を体験すると、それ以前の状態には戻れない
広告表示が無い状態を体験すると、広告が表示されていたときのウェブ閲覧体験がいかに不快なものであったかということに気付くことになります。アドブロックを使い始めてからアドブロックを敢えて解除することはほとんど無いはずですので、アドブロックの認知が広がれば広がるほど、使う人が増えていくという構図になるはずです。
広告表示側(サイト側)の対策
広告を出稿し、消費者や利用者にそのメッセージを届けたいと考えている側からすると、このアドブロックに対して行えることは以下の2つがあるかと思います。
そのサイトだけの価値あるコンテンツを作る
日本ではまだアドブロックの利用率が低いため(3%から10%)、アドブロック対策をしているサイトは少ないのではと思いますが、海外では下記のような対策を行っているサイトがあります。
アドブロック利用者に対してはコンテンツを表示させない仕組みを導入し、利用者が記事を表示するには
- アドブロックツールを無効にする
- FacebookやTwitterでのログインする
- 一定額を支払って登録
などいずれかの対応を求める、というものです。
これらの方法がどれくらい有効なのか分かりませんが、これらを利用者側が納得するには「そのサイトだけの価値あるコンテンツがある」、すなわちなんとしてもそのコンテンツを見たいと利用者に思わせることが必要な条件になります。アドブロックツールを解除、もしくはSNS登録やいくらかの金額を支払っても見たいと思えるコンテンツがそのサイトにあれば、利用者はこれらの対応をする可能性があります。
コンテンツ・利用者本人に関連する広告を適切に表示する
こちらも当たり前の内容になりますが、特に「適切に表示」という点が大事です。文章の合間合間に繰り返し表示される広告は、スマホにおいてはスクロール中の誤クリックを稼ぐことができるかもしれませんが、その商品やサービスを広告したいという広告の本質的なニーズにはまったく無価値なものです。
スマホ画面の上部や下部から出てくるような、誤クリックを誘発するような広告表示の仕組みも同様ですね。
最後に
日本ではまだアドブロックツールの利用が一般的ではないため、広告主側も切迫した問題意識を持っていませんが、上記のようにアドブロックツールは一回利用するとそれを解除することはほとんど考えられないため、利用率はどんどん上がっていくことになります。
「アドブロックツールを利用して広告を表示しないユーザーは、そもそも広告をクリックしないから影響は無い」という広告主側に都合のよい理屈は、アドブロックツールの利用率が上がっていくにつれて通用しなくなります。
そうなった時、新しい広告の仕組みとしてどのような手段・技術が出てくるんでしょうか。
アドブロックツールに関しては、iPhoneやiPadなどiOS上で利用できる「コンテンツブロッカー280」という非常に優れたアプリがありますので、こちらの記事をご覧ください。
私もこの記事を書いてからずっとこのコンテンツブロッカー280を使っていますが、広告ブロック率が非常に高くとても満足しています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今後もいろいろなエントリを書いていきますので、ぜひお気軽にTwitterのフォローや読者登録をお願いします。