メルカリの子会社ソウゾウが5月8日に本・CD・DVD専用のフリマアプリ「メルカリ カウル」をリリースしたというエントリを昨日書いたばかりですが、家電販売のノジマも5月9日に家電専用のフリマアプリ「nojima フリーマーケット」を開始していたことに気付きました。
中古ブランド品を扱うコメ兵も今年秋にフリマアプリを計画していますし、2016年には市場規模が3052億円と推定されるフリマアプリ市場(4月下旬の経済産業省発表「電子商取引に関する市場調査」より)に、多くの企業が参入してきています。
ノジマの「nojima フリーマーケット」アプリについて見ていきます。
- 家電専用のフリマアプリ「nojima フリーマーケット」の特徴
- 「nojima フリーマーケット」を「メルカリ カウル」「ブクマ」と比較
- 気になった点(売主への商品代金の支払いについて)
- 気になった点(商品検索結果について)
- 最後に
家電専用のフリマアプリ「nojima フリーマーケット」の特徴
第一の特徴は、プレスリリースにあるように家電専用であることです。
確かに既存のフリマアプリに家電専用のものはなく、フリマアプリ市場が広がっていくに連れて(2016年の3052億円から2017年はさらに広がることが見込まれています)このようにジャンル特化型のアプリが増えていくことが考えられます。
第二の特徴は、1都6県に150店舗以上あるというノジマの既存店舗の店頭にて出品のサポートを受け付けるという点です。
メルカリやメルカリ カウルを運営している大手のメルカリや、フリル・ラクマを運営する楽天などは実店舗を持っていないため、カウンターでサポートを受けられることで出品へのハードルを下げることができるかもしれません。
スマホなど小型のものは個人がそのまま出品すればよいですが、冷蔵庫や洗濯機など大きい家電については、そのうちこのカウンターを使った引き取り・配送サービスなども組み込んでいきそうですね。
第三の特徴は、
売上金をノジマオンラインポイントに交換することで、振替手数料を無料
としていることです。
買主の手数料は無料ですが、売主がその商品代金を手に入れるためには
- ノジマから振り込んでもらうか(手数料864円)
- ノジマオンラインポイントに交換する(手数料無料)
という2つの方法があります。
ちなみに、ノジマのフリマアプリもメルカリのカウルと同様、売主から販売手数料として10%を徴収する仕組みです。
ノジマとしては、ここで売り上げた金額をまたノジマでのお買い物に使ってもらいたいわけで、ポイントをフックにしたうまくできている仕組みです。
扱う対象が家電ということで単価が高くなることを見込んでいるはずですが、864円という振り込み手数料は、ノジマポイントに交換して欲しいにしろ高い気はしますが。
カウルと同様、まだアプリの展開はiOS版だけとなっておりアンドロイド版は開発中ということですが、iOS版のダウンロードリンクを貼っておきます。
「nojima フリーマーケット」を「メルカリ カウル」「ブクマ」と比較
出品にかかる時間および、それぞれがiOSでアプリを出していますので、昨日のエントリで見たカウルとブクマにこのnojima フリーマーケットのアプリのキャプチャを加えて比較してみました。
出品にかかる時間
出品者がフリマアプリを使うときに気にするのが、
- いかに手間無く簡単に出品できるか
- 高い価格で、出品から素早く売れるか
という点です。ここでは出品について見てみます。
ブクマは「世界最速10秒で出品できる本のフリマアプリ」と謳っています。確かに書籍の裏についているバーコードをスキャンするだけなので、非常に簡単に出品作業を行うことができます。
メルカリのカウルも公式サイト上には表記はありませんでしたが、iTunesストアにて「10秒でかんたん出品」と、こちらもブクマと同じく10秒と謳っています。
一方ノジマのフリマアプリは、「最短3分で出品が可能」というようになっており、こちらもカウルやブクマと同様、製品の写真を撮影して必要情報を入力する方式となっていますが、カテゴリの選択などより時間がかかるようになっています。
アプリのホーム画面
それぞれのアプリのホーム画面は下図のようになっています。ブクマとnojima フリーマーケットは、左上にハンバーガーメニューもあります。
■ブクマ
- 本一覧
- カテゴリ
- 出品(出品という言葉は使わずにカメラアイコンのみ)
- やりとり
- マイページ
■カウル
- ホーム
- ランキング
- 出品
- Off(激安)
- マイページ
■nojima フリーマーケット
- トップ
- 検索
- ウォッチリスト
- 出品
多くのアプリがホーム画面に置くメニューの数を5つにしていると思いますが、nojimaのアプリは4つです(4つって最近見ないですね)。
それに加えて左上のハンバーガーメニューもあるので、これはブクマでも思ったことですが、少し分かりづらさがあります。
またアプリの基調色がグレーであるため、ブクマやカウルのような「楽しさ感」が小さいようにも思いました。
このあたりはアプリの方針でもありますが、モバイルファーストの世界観というか、アプリのUIに慣れていないような印象を受けます。そのうち見直されていくのではないかと思います。
気になった点(売主への商品代金の支払いについて)
ノジマのプレスリリースには、「安心のお取引」という下記の説明図がありました。
気になったのは
購入者様が商品受け取り後双方が評価すると出品者様に代金が支払われます
という点です。
買主が商品を受け取った後、売主(出品者)を評価する(この図では受領操作という言葉になっており、受領を報告する際に出品者を評価する仕組みだと思います)のは分かりますが、それに対してさらに売主も何かリアクションをする必要があるのでしょうか。
買主が商品を受領したとノジマに伝えない限り、売主には代金が支払われない仕組みとなっているようで、買主の保護がしっかりとされている反面、買主が商品を受け取った後に何もアクションをしないと、売主としては入金されず困ったことになりそうです。
5月17日追記:メルカリも同様の仕組みになっているとid:nadanonadanotamenonadaniyoruさんに教えていただきました。ありがとうございます。
おっしゃっていただいたように、双方向に評価を強制する仕組みによって、売主にも買主にもよい意味でプレッシャーがかかると考えられますね。今のCtoCアプリではだいたいこういう仕組みになっているのか、いつか見てみたいと思います。
気になった点(商品検索結果について)
まだ出品されている商品が少ないからだと思いますが(サービスリリースにあたり、まずノジマがスマホなど250点を出品したということです)、検索結果が0件となっているカテゴリーが目立っています。
ただアプリでは「商品が無いから0件なのか」「検索の設定条件に問題があるから0件なのか」がよく分からず、かつその検索結果画面は何も表示されていないブランクのページであるため(iPhone6、最新のiOSで確認)違和感があります。
これからアプリのUIが改善されていくことだとは思いますが、気になりました。
最後に
これからジャンル特化型のフリマアプリへの参入はますます増えていくと思います。
コメ兵は今年秋からということを発表していましたが、時期を早めるかもしれません。それくらい、消費者の中で中古品をオンラインのフリマアプリでやり取りするという行動が、速いスピードで一般化してきています。
一方、フリマアプリのようにCtoCで消費者同士が直接繋がってしまう形になると、消費者にリアル店舗に中古品を持ち込んでもらってそれを販売する形態(ブックオフなど)のビジネスに影響が出ます。
実際ブックオフのビジネスは厳しくなっていますし、新しい技術によってもたらされる消費者の行動の変化をしっかりと捉えなければと思います。
関連記事として、昨日下記のエントリを書いていますのでこちらもどうぞ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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