メルカリの子会社である株式会社ソウゾウから、本・CD・DVD専用の新アプリ「メルカリ カウル」がリリースされました。現在はiOS版のみの提供となっておりAndroid版は開発中ということです。
古本のフリマアプリとしては2016年にサービスを開始したブクマが有名ですが、そのブクマへの対抗サービスとなっています。
CtoCアプリマーケットで最大手のメルカリの新しい動きであるこのカウルについて、競合のブクマとともに簡単にまとめておきます。
本・CD・DVD専用フリマアプリ「カウル」の特徴
メルカリの子会社である株式会社ソウゾウが2017年5月8日にスタートした、本・CD・DVD専用のフリマアプリです。
ソウゾウは、メルカリアッテという個人の持ち物およびスキル(貸して、教えて、助けて)を売買する、より地域性の高いサービスも展開しています。
カウルは、書籍の裏表紙に付いているバーコードを読み込むことで自動的にその本の情報(著者や価格など)を取得し、簡単に出品することができます。
この機能だけならば後述のアプリ「ブクマ」もまったく同様なのですが、最大の特徴は
メルカリにも同時出品される
という点です。
メルカリは日本国内でもダウンロード数が4000万件を超える巨大なフリマアプリであるため、カウルを通してメルカリにも出品できるということは、出品者にとっては多くの買い手にリーチできる=売れる可能性が高いという大きなメリットがあります。
アプリのレビューを見ても、「ブクマよりも売れたのが早かったように思う」というコメントが散見され、ユーザーが両アプリを比較対象としているのが分かります。
ランキングなどを眺めるだけならばアカウントの登録は不要ですが、出品・購入をするためにはメルカリのアカウントを作成する必要があります。
カウルは5月15日現在ではiOS版のみの展開となっており、Android版は開発中となっています。
iOS版のダウンロードリンクを貼っておきます。
本専用のフリマアプリ「ブクマ」の特徴
ブクマは株式会社Labitが2016年5月25日にスタートした本専用のフリマアプリです。
「世界最速10秒で出品できる本のフリマアプリ」ということをキャッチコピーとしており、メルカリのカウルと同様、書籍の裏についているバーコードをスキャンすることで著者や価格の情報を簡単に取得できるので、後は書籍の状態を選んで価格を付けるだけで出品ができる仕組みとなっています。
ちなみにこの株式会社Labitは、2016年6月に渋谷の道玄坂に新刊書店&本屋「Book Lab Tokyo」をオープンさせており、書籍ビジネスへのこだわりを感じさせる会社です。
2016年はiOS版の提供のみとなっており、2017年2月よりAndroid版の提供を開始しています。メルカリ同様、ダウンロードリンクを貼っておきます。
iOS版のダウンロードリンク
Android版のダウンロードリンク
Labitのプレスリリースによると、2017年2月時点で
- 累計20万冊の出品点数(2017年2月)
- 1人あたり出品数平均は11.2冊 (2016年12月)
- 週2万冊の新規出品(2017年1月)
- 2018年度の流通総額は140億円を目標
ということで、それぞれのデータの日時が少しずれているのですがそこには目をつぶり、1.と2.より、
出品者数 = 20万冊 / 11.2冊 = 約2万人
と言えます。
出品はせずに落札だけするユーザーもその10倍はいると仮定して、ブクマの利用者数は20万人程度と推定できるのではないかと思います。
メルカリのカウルとLabitのブクマの比較
カウルとブクマの両社が提供しているiOSアプリを比較してみました。
バーコードをスキャンして著者や価格情報を取得するという主要機能については両者に差が無かったので、アプリのホーム画面にそれぞれが何を出しているか、ということについて見たのが下記の図です。
両方のアプリが、アプリ最下部にメニューを配置していますが(ブクマは左上にハンバーガーメニューもあります)、その内容にそれぞれの特徴がありました。
■ブクマ
- 本一覧
- カテゴリ
- 出品(出品という言葉は使わずにカメラアイコンのみ)
- やりとり
- マイページ
■カウル
- ホーム
- ランキング
- 出品
- Off(激安)
- マイページ
ブクマが本を探すということにより注力しているように見えるのに対し、カウルはメルカリでのノウハウを活かして、ランキング機能やOff(激安)というコンテンツを前面に出しています。
ブクマは出品者とやりとりをできる「やりとり」という機能を前面に出していますが、メルカリに慣れたユーザーからすると「出品者と簡単にやり取りできるのは当たり前」という感覚があるためか、カウルではこの機能は前面に出てはいませんでした。
出品に関しては、両アプリともアプリ下部にある5つのコンテンツの真ん中に配置していますが、その表現方法が違います。
ブクマは出品という言葉を使わずにカメラアイコンのみとなっていますが、カウルは明確に出品と書いています。ユーザーに少しでも出品を意識付けるためにも、ブクマも同様に言葉を加えるのがよいと個人的に思います。
最後に
本・CD・DVDの中古フリマ市場に参入したカウルは、メルカリの力を背景に今後急速に拡大していくことが見込まれます。
それに伴いブクマは厳しい立場に追い込まれていくはずです。出品者からすると、当然ながら出来る限りたくさん売れる方がよいので、ユーザー数(潜在的な購入客)が多くなると見込まれるカウルにますます出品していく、という流れになってしまうことが考えられるからです。
一方、メルカリでは時として過剰なまでの値引きや値引き要請があり、ブクマはまた違った立ち位置になれるのかもしれません。
リアルな本屋という場を持っていることの強みを、何かしらの形で活かしていくという展開もありそうです。
カウルはまだサービスが始まったばかり(2017年5月)ということもあり、それに関する数字は出てきていませんが、何かしらのリリースがありましたら追記したいと思います。
メルカリについては、ラクマ・フリルとともにダウンロード数などの情報を逐次更新していますので、こちらもご興味がありましたらどうぞ。
5月19日追記:ブクマを運営しているid:mocchiccさんが、ブログにてメルカリ カウルについて言及していた記事を見つけましたのでリンクを貼っておきます。
競合ではなくユーザーを見る、というのは素晴らしいことですし、ぜひカウルに負けずに頑張ってほしいサービスです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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