(読了5分)先日のエントリにて、オンラインショッピングを行う際にどこをスタートポイントにするか、というアンケート(アメリカ)の結果を書きましたが、そこでは「アマゾンから探す」という回答をしたユーザーが52%と、回答者の半数以上を占める結果となっていました。
それを裏付けるかのように、アマゾンはアメリカのネット通販市場の43%のシェアを占めている(2016年)という調査結果がSlice Intelligenceから発表されました。
- アマゾンのネット通販市場シェアの伸び(2012年シェア25.4%→2016年シェア43%に)
- アマゾンのジャンルごとの成長率
- アマゾンの全世界および日本の売上高の伸び
- アマゾンをますます磐石にしていくアマゾンプライム・アマゾンエコー
- アマゾンのマーケットシェアを突き止めたユニークな調査方法
- 最後に
アマゾンのネット通販市場シェアの伸び(2012年シェア25.4%→2016年シェア43%に)
Internet Retailerによると、アマゾンは2012年にアメリカのネット通販シェアの25.4%を既に占めていましたが、2016年にこのシェアが43%になったということで、この5年でさらに大きくシェアを伸ばしています。
小売業界の中のどのような業種であったとしても、40%以上のシェアを1社が占めるということは非常にまれで、例えば世界最大の小売企業であるウォールマートですら、アメリカの小売売上全体に占めるマーケットシェアは9%となっています。
43%というマーケットシェアがいかに大きいかが分かります。
アマゾンのジャンルごとの成長率
アメリカのネット通販のシェア43%という巨大な規模になったアマゾンですが、各ジャンルの成長率が数パーセント程度の緩やかさになっているかといえばそうではなく、ジャンルによって異なりはありますが、着実に高い成長率を記録しています。
アマゾンの成長に大きな比率を占めているジャンルは、上位から順に
- 家電製品(2016年度対比+18%)
- 家庭用品(+15%)
- アパレル(+12%)
- 食品(+11%)
- 美容健康関連製品(+10%)
となっていると上述のレポートでは述べています。
アマゾンの全世界および日本の売上高の伸び
つい先日アメリカ証券取引委員会に公開されたアマゾンの売上高を見てみますと、
- アメリカ:903億4900万ドル(2016年度比+28.0%)
- ドイツ:141億4800万ドル(+19.7%)
- その他:111億4600万ドル(+51.5%)
- 日本:107億9700万ドル(+30.6%)
- イギリス:95億4700万ドル(+5.6%)
というようになっており、アメリカ以外にも世界各国で売上高が伸びていることが分かります
日本は為替の影響が大きく、円ベース(2015年の年平均為替レートを121円、2016年の年平均為替レートを108円とする)で売上高を計算すると、
2015年売上高:82億6400万ドル = 9999億4400万円
2016年売上高:107億9700万ドル = 1兆1661億円(+16.6%)
となり、アマゾンの日本売上高は2016年と2015年を比較すると16.6%伸びていることが分かります。
アマゾンは直販だけではなく第三者が売買をできるマーケットプレイスも展開しているため、この数字が直接にアマゾンの流通額とはなりませんが、それにしても日本のネット通販の成長率や市場規模を考えると、その伸びを上回る形で成長しています。
アマゾンをますます磐石にしていくアマゾンプライム・アマゾンエコー
アマゾンの会員数は2016年に全世界で3.5億人前後となる見込みです。
また、先日アマゾンプライムの会員数がアメリカでは6500万人を超えたというCIRPのレポートが出ていました(アメリカの人口は3.2億人のため、およそ5人に1人がアマゾンプライム会員であるという衝撃的な数字になっています)。
アマゾンプライムはアメリカでは99ドル(約1万7000円)で加入が可能ですが、加入したこれらのユーザーがオンラインショッピングをする際にアマゾンで物を探し始め、そしてアマゾンで買うというのは自然な行動です。
アマゾン会員数についてはこちらのエントリに書いています
アマゾンが推し進めている音声認識技術「アマゾンアレクサ」を搭載した「アマゾンエコー」も見逃せません。
アマゾンアレクサとは人工知能を備えた音声認識プログラムのことを示し、アマゾンエコーとはアマゾンアレクサを搭載した小さな形のスピーカーを示します。
ビルボードの記事でアマゾンCEOのジェフ・ベゾス氏が
ショッピングに関して音声によるインターフェースがもたらすものは今のところ大きくない。何度も注文するような、選択肢が少ない消費財であればよいだろうが、ほとんどのオンラインショッピングはディスプレイがあるデバイスで行われるだろう。
と言っていますが、次に発売されるアマゾンエコーはディスプレイ付きのデバイスになるかもしれませんし、「今のところ」という発言からも、今後大きく進展していく・進展させていきたい分野と考えているようです。
ちなみにインタビューは2017年1月20日でしたが、その前日にジェフ・ベゾス氏は一日中アレクサとエコーに没頭していた、という発言もあり、アレクサとエコーへの力の入れ具合が分かります。
アマゾンのマーケットシェアを突き止めたユニークな調査方法
Slice Intelligenceが「アマゾンはアメリカのネット通販の43%のシェアを占めている(2016年)」と発表しましたが、この調査方法がなかなかユニークです。
ネット通販利用者440万人の注文確認メールなどを匿名化してデータ化することでこのような調査を可能にしています。
記憶があいまいになりやすいアンケートに答えてもらう手法などより、よほど正確な情報が集まりますし、すごい発想だと思いました。またデータが匿名化されるとはいえ、この調査に協力しているユーザーが440万人もいるというところも、アメリカらしいなと思います。
最後に
アマゾンの成長は本当に早いですね。日本のみならず各国の成長が続いているということも驚異的ですが、こんなに規模の大きいアメリカでも順調に成長しシェアを広げているということがすごいです。
アマゾンアレクサやエコーも興味深い技術・デバイスですので、引き続き見ていきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今後もいろいろなエントリを書いていきますので、ぜひお気軽にTwitterのフォローや読者登録をお願いします。
他にもこんな関連エントリがあります。お時間がありましたらどうぞ。