(読了4分)LINEが1月25日に発表した2016年12月期の連結決算(PDF)は、営業利益が前期比10.2倍!(198億円)というすごい伸びとなり、売上高では企業向け広告シェアが39%(前期比50%増)となるなど、成長を示していました。
一方マーケットはこの成長では物足りないということで、株価は発表後に下落してしまいましたが、高い成長(そして利益)が期待されている、求められていることの裏返しと言えます。
LINEの売上高の内訳を2016年と2015年とで比較
LINEの売上高は1407億円と前期比17%伸びていますが、それを牽引しているのが
企業向け広告
です。こちらの図表をご覧ください。
LINE売上高の内訳比較―サービスごと
LINEの売上高を、2015年と2016年で比較したものです。
その内訳を見てみると、
- 個人から:スタンプや課金アイテム
- 企業から:企業向け広告(公式アカウント、スタンプ、livedoor/NAVERまとめの広告)
それぞれ売上を上げていることがわかります。
この表の中で緑色でハイライトしましたが、その中でLINE広告(企業向け)は昨年比67.9%増と、非常に伸びていることが分かります。
この売上の内訳を、個人向けと企業向けでまとめて比較したのがこちらの表になります。
LINE売上高の内訳比較―個人向けと企業向け
こちらを見ると、個人向けがマイナス成長なのに対し、企業向けが昨年比で50%伸びていることが分かります。
個人向けがマイナスなのは
ゲームの利用者数が減少している
のが理由になります。
ゲーム利用者数は
2015年10-12月:31.9百万人
2016年10-12月:26.5百万人(-5.4百万人、17%の減少)
このように減少していますが、この減少による売上のマイナスを、企業向けの売上プラスで補うことができたため、全体として売上高が1407億円と前期比17%伸ばすことができた、という構造になっています。
個人向けと企業向けが、LINEの売上の中でどれくらいのシェアを占めているかを、2015年と2016年で比較した表がこちらになります。
LINE売上高の内訳比較―企業向けのシェアの伸び
こちらを見ると、2015年には30%であった企業向けの売上が、2016年には39%と大きく伸びていることが分かります。
それでは、なぜLINEは企業向け広告を伸ばすことができているのかを、次に見ていきます。
LINEの規模・企業向け広告の内容
LINEは国内のユーザー数が6800万人(月間アクティブ率96.6%)と、ものすごく巨大かつアクティブ数も大きい媒体であるため(LINE2016年10月-2017年3月媒体資料より)、企業にとっての広告価値も高くなっています。
企業向け広告の内容は
- LINE公式アカウント
- LINEスポンサードスタンプ
- LINEポイント
- LINEタイムライン広告
となっています。
公式アカウントは下記の大きな2つに分けることができますが、
- LINE@(ラインアット)
- LINE@(ラインアット)以外の公式アカウント
LINE上でプロモーションをしたいと考えるような企業が選んでいるのは
LINE@(ラインアット)以外の公式アカウント
です。
- 初期費用が800万円
- 月額費用が250万円(月に4回のメッセージを配信できる)
というように費用が高いですが、その費用対効果を見込む企業が多いということもあり、多くの企業が参入しています。
※本稿とは関係ないですが、Googleで検索するとこのような結果が出てくることがありますね。強調スニペットという機能です。
企業の公式LINEアカウント数は増加しており、
2015年10-12月:419アカウント
2016年10-12月:549アカウント(+130、31%の増加)
上記のように企業はこのアカウントの利用に大きな金額を払うため、LINEの売上が伸びているということになります(このアカウント数は「グローバル有料公式アカウント数」ということなので、日本国内のアカウント数に限らない可能性があります)。
今後のLINEの戦略
LINEはこれからもLINE PayやLINEモバイルなど、従来のゲームやマンガ、音楽以外にもコンテンツを充実させていくことでユーザーを維持し、その規模を武器にさらに多くの企業に公式アカウントを開設させていくと思います。
一方国内ではユーザー数という点で頭打ちになってしまうため、さらに海外に進出していくでしょう。
LINEはアジアに進出し、台湾・タイ・インドネシアの三カ国に集中してシェアを上げる戦略をとっており、台湾・タイではNO1のメッセンジャーサービスになっているということです。
日本で機能している、
- ユーザー数を増加
- 媒体価値を高める
- 企業からの広告を取り売上を上げる
というサイクルをこれらの国でも回すことができれば、より高い成長に繋げることができるため、今後の展開に期待です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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