(読了4分)アマゾンが2016年12月にダッシュボタンの提供を日本でも開始しましたが(アメリカでは2015年4月から始まっています)、それに続いてアメリカにて「バーチャルダッシュボタン」の提供を2017年1月から開始しています。英語ですが公式サイト上の説明はこちらになります。
- アマゾンダッシュボタンの仕組みのおさらい
- アマゾンバーチャルダッシュボタンの仕組み
- 対応している製品に関しては、いくつでもボタンとして登録できる
- アマゾンがボタンを(勝手に)作ってユーザーのダッシュボードに表示する
- 最後に
アマゾンダッシュボタンの仕組みのおさらい
従来のアマゾンダッシュボタンは、ボタンを押すだけで商品を買うことができる小型の端末(手のひらサイズで、縦3センチ、横横6センチ)です。
洗剤や水などの既にボタンに紐付けられている製品が無くなりそうな時にこのボタンを押すと、ウェブサイトやアプリを立ち上げてアマゾンを開かなくても、アマゾンのワンクリックの仕組みによってアマゾン上で注文が完了する、というものです。
アマゾンバーチャルダッシュボタンの仕組み
しかし今回提供されているバーチャルダッシュボタンは、名前の通り「バーチャル」で、物理的なボタンではなく、ウェブ・アプリ上に生成されるボタンです。
そしてこのバーチャルダッシュボタンの特徴は、
- 従来のダッシュボタン(物理ボタン)とは異なり、無料である
- 対応している製品に関しては、いくつでもボタンとして登録できる
- 継続的に購買している製品がプライムに対応している場合には、アマゾンがボタンを(勝手に)作ってユーザーのダッシュボードに表示する
という3点になります。
1、2点目はともかく、3点目は大きなビジネスインパクトをもたらします。
ちなみにこのサービスを利用できるのは、通常のアマゾンダッシュボタンと同様にプライム会員のみとなっています。
対応している製品に関しては、いくつでもボタンとして登録できる
物理的な従来のダッシュボタンとは異なり、プライムの対象である製品の製品ページにて「Add to your Dash buttons」を押せば、自分でバーチャル名ダッシュボタンを作ることができるとしています。
対象製品数が数百ブランドにとどまっていた従来の物理ボタンに比べて、大きな変化です。
アマゾンがボタンを(勝手に)作ってユーザーのダッシュボードに表示する
この機能が本当にすごいと思うのですが、アマゾンは当然ユーザーの購買履歴なり購買サイクルなりの膨大なデータを持っています。
従来は、アマゾンサイト上に表示されるおすすめ商品などのレコメンドでの利用や、サイト上に表示される広告の出し分けに利用されていましたが、このバーチャルダッシュボタンで、そのデータをより活用することができます。
アマゾンによる具体的なデータの活用方法
「このユーザーの洗剤が無くなりそうだな、このユーザーは洗剤の買い替えをそろそろ意識するタイミングだな」
と認識した時点で、アマゾンはこのバーチャルダッシュボタンをユーザーのダッシュボード上にて上部に表示するなど目立たせることができます。
ユーザーとしては、適切なタイミングで自分が従来買っている製品がレコメンド(ユーザーにとっては買い忘れを防ぐリマインドの意味もあります)されることは便利ですし、プライムで送料も無料なのでそのまま買うことになるでしょう。
しかしそれは当然ながら、
- アマゾンでより多くの購買が発生する
- 他ブランドへのスイッチングがますます起きにくくなる
という状況を生み出します。
スイッチングコストの考え方については、下記の記事に書いています。
最後に
ユーザーの目に触れるサイトデザインやこのようなサービスといったフロントエンドも、またユーザーの目には触れないシステムや物流などのバックエンドも、アマゾンがとにかくすごい勢いでサービスや改善を実行しています。
こちらのエントリにもありますように、
EC市場規模は日本でもこれからも持続的に成長していくことが予想されています。
マーケットの伸びがアマゾンを助け、またアマゾンがマーケットを引っ張るという構造が続いていく中で、どんどん進化するアマゾンに対し、国内企業も何かしらの対抗策を編み出してほしいと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今後もいろいろなエントリを書いていきますので、ぜひ読者登録をお願いします。