(読了4分)5億人のユーザーを抱えるインスタグラムが、アメリカ国内のiOSアプリ限定の機能として、「投稿写真から直接買い物ができるタグ」という機能の試験提供を、一部のアパレル・ブランドに対して開始しています。
ユーザー数5億人、うち3億人が毎日利用している(これらの数字はこちらのオフィシャルブログからです)巨大な規模および高いアクティブ率を誇るインスタグラムですが、その成長は衰えることを知りません。
ここ数年でも、
- 2014年12月に3億人を突破
- 2015年9月に4億人を突破
- 2016年6月に5億人を突破
というように、これだけの規模でありながら高い成長を維持しています。
そのインスタグラムが今月上旬、"Shopping Coming to Instagram" として、新機能をリリースしました。
広告主およびユーザーが抱えていた問題点
インスタグラムの投稿には、ご存知のようにリンクを張ることができません。
そのため、広告主がインスタグラムのユーザーを直接自社サイトに誘導するためには、ユーザーにプロフィールページに来てもらうしかありませんでした。
そしてその場合、ユーザーが遷移するのはトップページやキャンペーンページなど、特定のページになります(プロフィールページにはリンクは1つしか設定できないため)。
インスタグラムはこの買い物タグ機能により、「各投稿、各写真から、それに紐付く製品ページに直接ユーザーを遷移させたい」と願う広告主の要望を満たそうとしています。
これは、気になる製品が写真内に写っていた場合に、いちいち別ウィンドウでアプリやブラウザを立ち上げ検索していたユーザーの負荷を減らすことにも繋がります。
インスタグラムの買い物タグの仕組み
この買い物タグは、
- 広告主が、製品写真を投稿する際にタグを付ける
- このタグは、ユーザーが写真左下にある「タップして製品を見る」ボタンをクリックすると表示される
- ユーザーがタグをクリックすると、アプリ内で詳細ページに遷移する
- ユーザーが詳細ページ上の購入ボタンをクリックする
- アプリ内でブラウザが立ち上がり、広告主のサイトに遷移して購入できる
というように機能します。
インスタグラムによるこちらのビデオでサービスの概要を簡単に把握できます。
今後の展開
インスタグラムは現在この機能をアメリカ国内のiOSアプリ限定で提供しており、現在参加しているメーカ・ブランドはケートスペードなど20社ということです。
グローバルに展開する際には、投稿を保存する機能も提供する予定ということです。これは、「その日中に購入を決断するユーザーは21%しかいない」という内部調査に基づいています。
広告主への影響
インスタグラムは日本でも伸びており、ICT総研の8月の調査「2016年度 SNS利用動向に関する調査」によると、インスタグラムの利用率は22.1%、そして満足度も77.8%と非常に高い媒体となっています。
利用率1位のライン、2位のツイッター、3位のフェイスブックはもちろん重要なSNSですが、4位のインスタグラムも急速にその重要度を増しています。
上位3つのSNSとは異なり、インスタグラムは「投稿にリンクを付けられない」という点が広告主側の問題点でしたが、この買い物タグ機能によりこの問題が解消される見込みです。
日本への展開やAndroidアプリへの対応時期などは未定ですが、この機能によりインスタグラムが広告主にとってますます魅力的な場になることは間違いありません。
何か製品を探す際には「検索エンジンで検索する」という行動が王道でしたが、最近ではツイッターやインスタグラムなどのSNS上で探すという行動が、特に10代に顕著に見られるという興味深い記事もあります。
知りたいことは「Twitter」「Instagram」で検索--友達の言葉を鵜呑みにする10代
これら若者の行動と、この層にアプローチしたい広告主、そのアプローチを容易にするこのインスタグラムの買い物タグ機能によって、広告主は今後さらにインスタグラムへの投資を強めていくことになると思います。
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