黄色いノート

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働き方改革で仕事が成果で評価されるにつれ、労働者の帰属意識は社外に向く

最近いろいろなところで「働き方改革」について見聞きするようになりました。新聞紙面でも「時間給か脱時間給か」「連合が脱時間給容認を撤回」などと、働き方の中でも「労働成果をどう計測・評価するか」という点から派生する問題についてのトピックが多いように思います。
参考:7/28 誰のための連合か 「脱時間給」容認撤回

脱時間給で労働者の余暇時間が増大していく

公正な評価は難しい

以前も評価についてのエントリを書きましたが(本文末尾にリンクを張っておきます)、仕事およびその成果を正当に評価するというのは本当に難しいことです。しかし一方で、働いた時間の長さだけに応じて給料を支払う時間給という考え方・制度を変えていかないと、生産性が上がらないことは明らかです。

成果を評価されることのメリット・デメリット

労働者としては付き合い残業をしなくてよくなり、テレワークや在宅勤務など場所にとらわれない勤務体系によってワークライフバランスを整えることができるであろうというメリットの反面、残業代が減ったり、成果を挙げるためにより多くの労働時間を投入せざるを得なくなってむしろワークライフバランスが悪化するかもしれないという危険性もあります。

付き合い残業は本当に無駄なものですが、それを求める「空気」が多くの日本企業にあることも残念ながら実感を持って理解できます。

私は現在は外資系企業で働いていますが、企業による違いはあるにせよこの企業ではそういう空気が(全くとは言えませんがほとんど)無いというのは、私にとってとてもありがたいことですし、多くの人もそう考えるはずです。これはやはり「外資だから」というのが大きいと思います。

また、最後の「成果を挙げるためにより多くの労働時間を投入」ということが起こってしまっては「生産性を向上させる」というそもそもの目的から外れてしまうため、きちんとした目標設定や労務管理が必要になります。

適切な目標設定・公正な評価の難しさを勘案した上でも、仕事は成果によって評価されるという方向性は正しいことだと私は思います。

現在議論されている脱時間給制度(高度プロフェッショナル制度と名付けられています。残業代ゼロ法案とも言われています)の対象となるのは年収1075万円以上の高度な職業能力を持つ労働者で、全労働者のうちのごくごく一部ですが、この議論を通してより「時間ではなく成果で評価する」というように世の中が変わっていくのだろうなと思います。

そうなった時にこのエントリのタイトルにありますように、労働者の帰属意識が会社から社外に向いていくことになることが考えられます。

なぜ労働者は今まで会社に帰属意識を持っていたのか

会社に帰属意識を持つ労働者が多かったのは、長い時間を働くことが大切であり評価されるという価値観および評価制度の元に自分の多くの時間を会社に捧げてきたから(そしてその代わりに会社は終身雇用と年功序列に代表される安定的な雇用・賃金を提供していた)と言えます。

いわゆる日本企業と、そこで働いている労働者の姿です。

ところが働く時間の長さではなく成果によって評価され、また会社も終身雇用を維持できなくなってくると、長い時間を会社に捧げることに価値を見出すことは難しくなっていきますし、その選択は合理的ではなくなっていきます。

いわゆる外資系企業がこれに該当します。

当然ながら日本企業にも外資系企業にもさまざまな例外がありますが、総じて「日本企業は会社と労働者が一体」ですが、働き方改革によって良くも悪くも(私は良いと思っていますが)、この形態が外資系企業にあるような「会社と労働者は契約で結ばれた関係」というある意味ドライなものになっていくでしょう。

そうすると、労働者が今まで会社に持っていた帰属意識が会社では満たされなくなり、社外に向くことになります。

人は何かに所属していたいという帰属欲求を持つ

人は何かに所属して安心を得たい生き物なので、家族だけでなく地域のコミュニティであったり趣味のコミュニティであったり、友人知人とのつながりであったりと、「所属欲」「帰属欲」を満たしてくれるようなコミュニティやサービスが見直され、広がっていくはずです。

SNSによって過去のつながりを振り返って現在に結びつけることも手軽にできるので、「自分はここの仲間だ、一部なんだ」という意識を再確認させてくれる同窓会やサークル等の集まりも、オンライン・オフライン含めて多様に活発になっていくかもしれません。

労働時間が短くなると余暇時間が増える

労働時間が短くなる=余暇時間が増えると捉えると、自分磨きであったり趣味の充実ということも起きていくであろう反面、持て余した余暇時間をうまく消費させるエンターテインメントサービスもゲーム以外に出てきそうです。ゲームはこれからより没入感を持ったものになっていくので、その地位はますます不動かもしれませんが。

例えばソフトバンクが先日発表した「WARP BALL」というVRを活用した近未来スポーツも、遠隔地にいる友人とのつながりを感じつつ余暇時間を楽しむことができるので、こういう発想のゲームが広がっていくと思います。

最後に

戦後の高度成長期から現在まで、日本では企業が労働者に長い時間を捧げることを求める一方、企業はそれに年功序列の賃金体系や終身雇用という安定および「帰属意識」を提供することで労使関係が成り立っていました。

高い成長が期待できず、時間ではなく成果で評価しようという世の中になっている現在、これからは、労働者の帰属意識は外に向いていきますし、それに伴い新しいコミュニティやサービスが発生していくことになります。

すぐ明日に起きる変化ではないですが、長い時間軸で見たときには確実に起きていく変化ですので、新しいコミュニティやサービスや余暇時間について、アンテナを張っていこうと思います。

本エントリ冒頭で触れた「公正な評価の難しさについて」は、下記のエントリに書いていますので、よろしければお読みください。

www.yellowpadblog.com

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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