黄色いノート

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アマゾンが商品を「水の中」に保管する水中倉庫を計画中

物流事業に携わっている方なら、誰しも倉庫内の無駄なスペースを何とかできないかと考えたことがあるはずです。

先日特許が公開された「商品を水の中に保管する水中倉庫(Aquatic storage facilities)」というアマゾンのアイディアも、現在の倉庫は貴重なスペースをあまりにも無駄にしすぎているという問題意識が発端となっています。

その解決策として現在の倉庫をどうにかしようという現状の延長線上だけではなく、商品を水の中に保管する倉庫を作ってしまおうというアイディアへの発想の飛躍がすごいですね。

水中倉庫の仕組み

こちらに特許内容がありますが(英語)、アマゾンの水中倉庫は

  1. 商品を防水の箱に入れて、人口のプールなどの水の中に沈めておく
  2. 箱にはソナーが付いており、受注を認識できるようになっている
  3. プールの外壁にも付いているソナーから音波が発せられ、特定の箱に受注を伝える
  4. 受注を確認すると箱の中の充填材?圧縮空気?か何かにより、箱の比重が水よりも軽くなり、かつバルーンのようなものが膨らんで水面に浮かんでくる(水よりも重くし、沈めておくこともできる)
  5. 表面に浮いた箱が何らかの推進装置によりコンベアに移動し、集荷できるようになる

という仕組みになっています。

特許出願説明文と共に公開されていた図がありましたので、いくつか下記に貼り付けました。図を見るとイメージしやすいかと思います。

特許が公開されたアマゾンの水中倉庫の仕組み。商品を入れた箱が沈んで水中に保管されている。

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水中倉庫のメリット

深いプールを作れば、その深さを目いっぱい活用して商品を沈めておくことができるということ、および受注すると商品が浮力によって浮上してくるというのがメリットです。

スペースを無駄にすることがない

通常の倉庫では高すぎるところに物を置くことはなく、最上部の棚から天井までの間には大きなスペースが広がっているということが往々にしてあります。

それこそ無駄なスペースの最たるものと考えたアマゾンが考え出したのが、商品を水の中に沈めて保管しておくというアイディアです。

商品の検索やピックアップが楽になる

通常の倉庫では、人やロボットが該当製品が保管されている棚まで動き回って商品をピックアップする必要がありますが、この水中倉庫では商品が注文受注を認識し水面に浮かび上がってくる(そしてコンベアーに乗せられる)ので、それを回収するのにかかるのは小さな労力で済みます。

人やロボットがピックアップするためには、それらが動き回るためのスペースも棚と棚の間に必要となりますが、この水中倉庫ではそのスペースさえも削減することができます。

こちらの記事でも指摘されていますが、浮力を使った仕組みのためにエネルギーの消費も小さくて済むようになります。

またアメリカでは問題にならないかもしれませんが、日本では地震への対処という側面もあります。高いところに物を置かない理由の一つに地震による棚の倒壊・商品落下のリスクがあるから、ということがありますが、水中プールに沈めておけば、プールの破損というリスクはあるにせよだいぶそのリスクを低減することができそうです。

最後に

注文受注を受信した箱が深いプールの下層にあり、その上層には他の多くの商品がある場合には、どのように上層に浮上してくるかはよく分かりませんでした。

その問題を解決しない限り効率的とは言えなくなってしまうなので、受注頻度なり何かしらのデータを元にして、ある箱が上層にあるのか下層にあるのかといった順番付けをしていくことになると思います。受注確率を元に、箱は水中を絶えず上下に動いたりするのかもしれません。

アマゾンは物流に関して、飛行船とドローンを組み合わせた物流基地を空中に作るというアイディアの特許も申請していたことが2016年末にニュースになりましたし、倉庫内のロボット化だけではなくとても積極的に物流の効率化を進めています。

足元では当日・翌日配送を可能にしているヤマトとの交渉が難航しており(ヤマトがアマゾンに1.7倍の運賃値上げと総量抑制を要請していると報道されています)、アマゾン側が折れることになるだろうと言われていますが、アマゾン自前の物流網なり新技術によって比較的早く体制を改善していくと思われます。

倉庫にせよ物流にせよ、アマゾンは物流網をコストではなく投資であると考えていることが垣間見える面白い特許でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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