黄色いノート

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米アマゾンが低所得者向け(国民の14%が対象)にプライム会員費を45%割引

アマゾンのプライム会員費は国によって異なり、例えば日本では年会費3900円(税込み)、アメリカでは月額10.99ドル(1200円、年換算では131.88ドルでおよそ14,400円)もしくは一括払いの年会費は99ドル(およそ10,800円)というようになっています。

そのアマゾンがアメリカのプライム会員費を、EBTカードを保有する低所得者向けに45%も割り引くサービスを開始しました。

その内容や、そこで気になった「アメリカではフードスタンプを受給する貧困層がどれくらいいるのか」ということなどと共に調べました。

低所得者向けのプライム会員サービスについて

アメリカでの低所得者向けのプライム会員サービスの内容

アメリカのアマゾンの申し込みページ(英語)によると、対象者はアマゾンプライムの月額費が現在の10.99ドル(およそ1200円)から5.99ドル(およそ650円)と大幅に安くなります。

対象となるのはEBTカードを保有する低所得者ですが、こちらのサイトによるとEBTカードとは

フードスタンプの磁気カード版のことを指します。仕組みとしては、デビットカードと同様で、専用の口座にある残高分のみ買い物ができるカード

ということで、政府が支給する食料配給券(フードスタンプ)などの受領者が今回の割り引きの対象者となります。

月額費は安くなりますが、プライム会員として使えるサービス内容は通常の会員と変わらないようで、

  • 送料無料で翌々日(Free Two-Day Shipping)に届く
  • 送料無料で翌日に届く(一部商品、一部地域)

というお買い物に関するメリットと共に、映画や音楽の視聴が可能となっています。

EBTカードの認証で簡単に申し込みが可能

安い価格でプライムサービスを利用するには、アマゾンプライムに申し込む際にこのEBTカードを認証する必要がありますが、この申し込みフォームを見ると必要なのはカード番号の入力とカード画像のアップロードで、アマゾンらしくシンプルな作りになっています。

アマゾンでのEBTカードの認証は簡単な仕組み

申し込んだ後には、EBTカードが有効かどうか毎年確認が必要となり、またこの割り引きの対象となるのは最長で4年間となっています。

EBTカードから支払えるのは食料費のみなので、このカードからアマゾンプライム会員費を支払うことはできない仕組みです。

アメリカのフードスタンプ受給者は2016年に4420万人

アメリカ合衆国農務省(United States Department of Agriculture、USDA)が提供している栄養支援プログラム(Supplemental Nutrition Assistance Program, SNAP)、すなわちフードスタンプですが、2016年には受給者数が4420万人もいて、1人あたり月額125.5ドル(およそ1万3700円)が支給されていることがUSDAの資料から分かります。

アメリカの人口は3.25億人程度であるため、国民全体の14%がフードスタンプを受給していることになります。

ちなみに受給者数が最大を記録したのは2013年の4764万人で、その時と比較すると7%の減少となってはいますが、それにしても大きな規模です。

この数字を日本の生活保護と比較するのが妥当なのかどうかよく分かりませんが(アメリカにはフードスタンプとは別に、貧困家庭一時補助プログラム(Temprary Assistance for Needy Families)というプログラムもあります)、日本の生活保護受給者数は約210万人(1.27億人の人口に対して2%弱)となっています。

栄養支援プログラム(SNAP)について調べているうちに、そのうちのサービスの一つにAWSが使われているというアマゾンのページを見つけました。アマゾンとUSDAとはこんなところでも繋がりがあったんですね。

アマゾンの狙いはウォルマートへの対抗

アマゾンの狙いは、これらの低所得者を彼らがよく利用しているウォルマートから奪うことです。

ウォルマートはネット通販への対応でアマゾンに大きく後れを取っていましたが、会員制ネット通販サイトのJet.comを2016年に33億ドルで買収し、そのトップであるマーク・ロアをネット通販部門のトップに据えてから急激に成長しています。

2017年6月4日の日経新聞の記事によると、ウォルマートの売上は

2017年2月~4月期決算の連結売上高は1175億ドルと、前年同期比で+1.4%の伸びでだが、ネット通販部門の売上高は63%も伸びている。

ということです。

この記事にもありますが、ウォルマートは米国民の9割を半径10マイル(16キロ)以内に捉える店舗群(西友のサイトによるとアメリカ国内店舗数は5332店舗)を保持しており、店頭受け取りサービスの利用が進んでいるアメリカの消費者の取り込みに大きく役立っています。

最後に

アマゾンはプライム会員の拡大を着々と進めており、それに伴いマーケットシェアもどんどん伸びています。アメリカのネット通販マーケットのうち4割近くをアマゾンが占めており、これからの3-4年で50%を越える規模になると見込まれています。

それに対してウォルマートなどの小売がどのように対応していくかも興味深いところで、日本の小売の大きな参考になるかもしれません。これからも引き続き見ていこうと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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