黄色いノート

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コンビニ電子タグ1000億枚宣言。セルフレジとの違いや小売・消費者への影響

先日RFID(無線自動識別技術)について、仕組みやICタグとの違いなどを調べましたが、コンビニがICタグを利用してレジ作業および物流の効率化を図ろうとしているという記事を読みました。

前回はユニクロ・ジーユー・ZARAなど、アパレルの事例を調べたのですが、コンビニはより身近ですし、自分にもインパクトもあるなと思いこちらのニュースについて記事を書きます。

参考:
2017年4月18日:「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を策定しました~サプライチェーンに内在する社会課題の解決に向けて~(経産省)

2017年4月18日:全コンビニに無人レジ 大手5社、流通業を効率化

ICタグを導入するコンビニ大手5社および、業界内でのシェア

そもそもになりますが、導入する大手5社とは「セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、ニューデイズ」を示しています。

それぞれの規模を知るために、こちらのサイトを参考にして店舗数をまとめると

セブンイレブン:(19,165店舗)
ファミリーマート:(18,185店舗)
ローソン:(12,839店舗)
ミニストップ:(2,247店舗)
ニューデイズ:(500店舗未満)
合計:(52,936店舗)

というようになります。

ファミリーマートはサークルKサンクスと2016年9月1日に経営統合したため、店舗数を大きく伸ばして業界2位となっています。

JRの駅中にあるニューデイズは、「500店舗体制の確立」という文言がJRのHPに掲載されていました。

ちなみに日本フランチャイズチェーン協会の資料によると、

2017年2月時点で、コンビニは全国に54,922店舗

ということなので、上記の大手5社(と言ってもセブンイレブンとニューデイズでは大きな違いがありますが)で、実に96%を占めていることになります。

これだけの規模を占める大手が参加するため、日本のコンビニ業界を変える取り組みと言えます。

コンビニ電子タグ1000億枚宣言

経産省のサイトに掲載されている「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」ですが、この1000億枚というのは、この5社が年間に取り扱う商品数(推計1000億個)全てにICタグを付けるという規模の想定です。

民間が入るということもあり、きちんと期日が入っているのもよいですね。

  • 全商品1000億個について、2025年までに取り扱う
  • 2018年を目処に特定の地域で実験を始めること

と宣言されています。

一方、この1000億枚宣言には下記2点の留保条件があります。

  • ICタグの単価が1枚1円以下になること
  • ソースタギング(メーカーが商品に電子タグを付けること)が実現し、ほぼ全ての商品をRFID(無線自動識別技術)管理できるようになること

というものです。

現在のセルフレジとの違い

すでに一部のスーパーにもセルフレジがあり、店員を介在せずとも消費者が直接商品を会計することができるようになっています。

しかしこれらのものはバーコードを利用しており、バーコードが付いた商品を1点1点、バーコードリーダーにかざして読み取る必要があります。

今回のコンビニ電子タグ1000億枚宣言で実現しようとしているのは、商品1個1個にバーコードでなく電子タグ(ICタグ)を添付するというものなので、消費者は商品を1点1点を手に取る必要は無く、かごごと会計ができるようになります。

商品がいくつあっても同時に読み取ることができるので、会計が瞬時に終わるというのも大きなメリットです。

私は体験したことが無いのですが、一部の図書館でもICタグを本やCDに添付し、貸し出しや返却を一瞬で終わらせるというシステムを導入しているところがあるようで、例えば「ICタグ図書館管理システム(UHF帯RFIDを利用した自動貸出/蔵書点検/BDS)」というものがありました。

RFIDとバーコードの違いは、経産省のこちらの資料が分かりやすいので貼らせていただきます。

RFIDとバーコードの違いを示した図

出典:経産省(PDF)

RFIDタグ(ICタグ)および読み取り装置に与える影響

RFIDタグ(ICタグ)には、電池を貯蔵しているアクティブタグと、電池を貯蔵していないパッシブタグの2種類があります。

このコンビニの取り組みで利用しようとしているのはパッシブタグとなり、こちらは安価に量産(1枚あたり10円以下)できるようになったこともあって最近注目を集めています。

5年ほど前は、1枚あたり100円程度かかっていました。

そして今回のコンビニ取り扱いの1000億個にICタグを添付するためには、その実現条件としてこのパッシブタグの価格が1枚あたりさらに下がって1円以下になる必要がある、としています。

仮に1枚1円になったとしても、1000億個の商品に添付するので単純計算で1000億円のインパクトが業界に(しかも毎年)発生します。

また53,000店舗全てに読み取り装置(リーダー・ライター)も導入するので、その金額も一時的にですが発生します。

1店舗平均2台を置くとして、1台あたり100万円とすると、こちらも1000億円の需要が発生します。

RFIDタグ(ICタグ)に大きな需要が見込まれる

メーカー、物流、小売、消費者それぞれへのメリット

商品1つ1つにRFICタグ(ICタグ)を添付することで、メーカーにも物流にも小売にも、そしてなにより消費者にもメリットがあります。それぞれのメリットを見ていきます。

メーカーのメリット

従来のバーコードでは、同一商品については、それぞれの識別ができませんでした。

「いくらおにぎり」と「たらこおにぎり」は、違うバーコードが張られるために識別できますが、「いくらおにぎり」が5個あった場合、その1つ1つの識別ができません。

RFIC(ICタグ)は、この「いくらおにぎり」それぞれに違う識別子を与えることができるため、より詳細な商品管理ができます。

具体的には、欠陥があった商品などの追跡が容易になります。

またスマートシェルフ(棚自体がRFIDの読み取り装置)の利用と合わせれば、「どの商品が手にとられたか」「それが買われたか、買われていないか」も追うことができます。

より詳細な分析ができるため、これは小売のメリットでもあります。

物流のメリット

棚卸しの作業が効率的になること(これもスーパーのレジの事例と同じですが、検品者が1つ1つ製品を手に取る必要がなく、棚に対してリーダーをかざせばよい)および、商品がどこを動いているかという配送情報の追跡が簡単になることがメリットです。

小売のメリット

上述の詳細な分析に加え、レジの人員削減ができることが大きなメリットです。

この「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」でも触れられていましたが、背景として小売業全体が抱える「人手不足および労務コストの上昇」という問題があります。

消費者がセルフレジでレジ業務を対応してくれれば、レジの人員削減ができます。

消費者のメリット

レジ作業が圧倒的に早くなる、というのが最大のメリットです。

2025年までには電子マネーもますます普及していることでしょうし、それこそ駅で自動改札を通るときのように、商品かごをレジに置いてEdyやSuicaをかざしてすぐにお店を出て行く、ということも可能になりそうです。

アマゾンゴーの外観

RFIDを使わないレジ無しスーパー(コンビニ):Amazon Go

Amazon Goという、アマゾンが発表したレジ無しのスーパー(コンビニ)が2016年末に大きなニュースとなりました。

ここで触れてきたようなRFIDは利用せず、画像認識技術や音声認識技術などでレジ無しを実現しています。

Amazon Goの仕組み。「カメラとマイク」で実現するレジなしスーパー。

※特許にはRFIDにも言及しているものの、Amazon GoではRFIDは利用していないとのこと

RFIDタグが廉価になるのに時間がかかると見込んだのか、それともこちらの画像認識技術や音声認識技術の方がより優れたソリューションを提供できると考えたのか、恐らく後者だと思いますが、同じ目的(レジ無し)でも、各社が様々な手段を使って実現させようとしているのがおもしろいところです。

最後に

商品にRFID(ICタグ)を添付する動きは、このタグの価格が下がっていくにつれて、またそのタグを商品に効率的に貼り付ける方法が確立するに連れて、どんどん広がっていくと考えられます。

一部地域では2018年に取り組みを始めるということなので、期待しながらニュースを追っていきたいと思います。

RFIDに関しては、仕組みやICタグとの違い、アクティブタグやパッシブタグについて、および仕組みなどを調べましたので、こちらの記事もご覧ください。

www.yellowpadblog.com

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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