黄色いノート

ネット通販/EC、新技術、仕事など、いろいろ書いています

人工知能が人を超え、人の仕事(雇用)がAIによって代替される未来‐カスタマーセンターや事務職

(読了7分)人工知能(AI:Artificial Intelligence)とは、私たち人間が知能により行っている作業を行うことができる機械(システムやプログラム)のことを示します。

ビッグデータの取得・処理が容易になったことおよび、ディープラーニングと呼ばれる機械学習技術の登場によって大きな進展が見込まれています。

その人工知能が人を超え(特定のジャンルに力を発揮する専用AIについては、既にチェスや囲碁やポーカーなど、いろいろニュースになっていますよね)人の仕事(雇用)が人工知能によって代替される未来が少しずつ、しかし確実に近づいてきているなと感じます。

私が最近感じたのは、カスタマーセンターや事務職において、人工知能によってその職が「奪われる」のがかなり近い未来の出来事になるだろうということで、それについて書いていきます。

人工知能について

人工知能の黎明期に立ち会っている

人工知能学会によると、

人工知能研究自体には「人間の知能そのものを持つ機械を作ろうとする立場」と「人間が知能を使って行うことを機械にさせようとする立場」の2つがある

ということですが、現在多く行われているのが後者の機械学習と呼ばれるもので、人間が行っている論理的な推論を行わせよう、というものです。

  • 推論とは、得た知識をもとに、新しい結論を得ること
  • 学習とは、情報から将来使えそうな知識を見つけること

となります。また、こちらの記事によると

考え方は、「強いAI(Strong AI)」と「弱いAI(Weak AI)」に分かれている。強いAIは人間と同等の知能を目指し、弱いAIはあくまでも人間を支える知能を目指している。

ということです。

ディープラーニングによる人工知能の進化とインパクトについては、こちらの記事でこのタイトルどおりの内容が詳しく書かれています。

カスタマーセンターの導入事例

チャットなどのメッセンジャーに対応するカスタマーセンターでの事例をアスクルが去年発表していました。

AI型チャットロボ(マナミさん)の導入により、

  • 問い合わせの1/3をAI型チャットロボが対応
  • 省人効果は6.5人分

という結果を出したという事例があります。

アスクルのサイトはQ&Aが充実しているのですが、自分でそのQ&Aを下っていかなくても、AI型チャットロボのマナミさんに質問することにより、答えを得ることができます。

質問に対する回答をチャットロボ自身がゼロから生成しているというわけではなく、質問から抽出したキーワードに対するサイト内の既存コンテンツを表示する、という仕組みになっています。

サイト内の既存コンテンツで対応できる内容であっても、自分で探すのが面倒であったり、どこにあるのか探せないという人が従来はカスタマーセンターに質問をしてきており、カスタマーセンターはその質問に対応してきたわけですが、その対応をAI型チャットロボットに代替させることができています。

注目すべきは、

  • 質問の1/3が人工知能によって代替可能
  • 質問の2/3は人工知能によって代替不可能

という表裏の関係にある2点です。

質問の1/3が人工知能によって代替可能

ウェブサイトを見れば答えが書いてあるような内容(製品やイベントの情報など)や、自身で操作できるような内容(契約内容の確認やメールマガジンの登録解除など)であったとしても、カスタマーセンターに問い合わせてくる人は一定数います。

それらについては、言わば

「作業的な対応」で対応を完了させることができる=対応者がなにかしらの付加価値を提供する必要が無い

対応であるため、これらは人工知能によって代替できる問い合わせの筆頭と言えます。

質問の2/3は人工知能によって代替不可能

一方、質問の2/3は(少なくとも現在のレベルの)人工知能によっては代替不可能ということが分かります。

  • ちょっと複雑(抽象的)な質問
  • 提案を求めるもの(Aに合うのはBか、Cか、など)
  • クレーム

などなど、人が対応しなければならない内容の質問(やクレーム)は、カスタマーセンターに寄せられる全体数の半数以上あります。

チャット対応のカスタマーセンターだけではなく、音声認識が進化していくにつれ、コールセンターも同様に

  • コールセンターへの質問の1/3が人工知能によって代替可能
  • コールセンターへの質問の2/3は人工知能によって代替不可能

というようになっていくと考えられます。

事務作業への導入事例

去年末に、富国生命がAIを導入し、34人を削減するという記事が出ていました。記事にもありましたが、具体的な人員削減の規模が明らかになるのは珍しいと思います(それを読んだこともあり、私も人工知能のインパクトを身近に感じてこのエントリを書いています)。

医師の診断書などから、病歴や入院期間、手術名といった入院給付金支払いなどに必要な情報を、AIが自動的に読み取る。

ということで、使われているのはIBMのワトソンでした。この記事には34人を削減ということ以外にも

AIのコストは、システム導入に約2億円、保守管理に年1500万円程度。一方、34人の人員削減による人件費軽減効果は年1・4億円程度と見られる。

という具体的な数字が出てきます。1人あたり400万円程度を支払っていた派遣社員もしくは契約社員の契約を更新せず、ワトソンに置き換えたという事例になります。

効率を求める資本主義

効率を求める資本主義

資本主義は効率を求めます。

今まで1人が100を生み出していたのが、150を生み出せばそれはより良いことです。

今まで2人で200を生み出していたところ、1人が200を生み出せればそれはより良いことですし、その場合もう1人には、別の200を生み出してもらうか、解雇するかという選択になります。

ロハコの事例であった、AI型チャットロボマナミさんに代替された6.5人が配置転換になったのかは分かりませんが、富国生命の場合はIBMのワトソンによって代替された34人に対し契約を更新しない(解雇)という対処をしています。

効率を求める資本主義という側面から見ると、富国生命の対応は非難されるものではありませんが、これからこのような事例がこれからどんどん増えていくであろうことを考えると、より大きな、新しい社会的な問題が生まれてきます。

最後に

バラクオバマ前アメリカ大統領が、伊藤穰一氏との対談で述べていた内容がまさにこの社会的な点を懸念しており、今後全ての人が受けるであろう人工知能の影響に、どう対処していくべきかについて語っています。長いですが一部を引用します。

社会のルールをリデザインするというのは、まさにそういう意味においてだ。ベーシックインカムが正しいモデルかどうか、幅広い人々に受け入れられるのかという議論は、今後10~20年間は続いていくだろう。また、AIに取って代わられる仕事は、スキルが求められないサーヴィス業だけではないというのもその通りで、高いスキルが必要な仕事であっても、コンピューターができるものなら消滅する可能性がある。

AIの実装が進み、社会が潜在的に豊かになるにつれて、生産と分配の間の関係、仕事量と生産量の相関は間違いなく弱まっていく。なぜならコンピューターが多くの仕事を担うことになるからで、その結果、何にいくらを支払うのが適正かという判断は、より難しくなる。

人工知能が人を超え、人の仕事(雇用)がAIによって代替される未来は、ある日突然やってくるのではなく、実は既に現在着々と進行しており、この未来が近づいています。

人工知能によって代替される(奪われる)仕事・代替されない(奪われない)仕事のリストなど、いろいろな情報がありますが、個人としての最適解(代替されないような、奪われないような仕事を行う)だけではなく、社会としての最適解(どのように仕事を失った人を支えるか、違う仕事を創出するか)も見つけていかなくてはならないと感じました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今後もいろいろなエントリを書いていきますので、ぜひ読者登録をお願いします。