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黄色いノート

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涙を誘ったオバマ大統領の最後のスピーチから学ぶスピーチ術

(読了6分)いよいよ1月20日にオバマ氏からトランプ氏にアメリカ大統領が交代するわけですが、オバマ大統領がホワイトハウスから最後のスピーチを1月10日に行っていました。

このスピーチの中で使われていた、スピーチをより印象付けるレトリックを紹介します。

動画およびスピーチの全文(英語)はホワイトハウスのこちらのページから見ることができます。

スピーチの内容

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スピーチの中では「民主主義(democracy)」という単語が22回も出てきて、いかにオバマ大統領が民主主義の大切さを訴えているか(そしておそらくは、次政権に対する若干の不安も込めつつ)がよく分かります。

また、このスピーチの中で多くの人々の共感と感動を呼んだ場面が、オバマ大統領が家族とバイデン副大統領に感謝を述べた場面です。

ミシェル夫人には

「25年間にわたって妻や母であっただけでなく、私の親友でもあり、望んだわけではない役割を引き受け立派にやり遂げてくれ、そして新しい世代の目標になった」

2人の娘、マリアとサラには

「(大統領の娘という)非常に特殊な環境下にあって、素晴らしい女性に成長してくれた。私が人生の中で誇ることとしては、何にも増してあなたたち2人の父親であるということだ」

バイデン副大統領には

「最初にあなたを選んだ私は正しかった。素晴らしい副大統領であっただけでなく、私は兄弟を得たかのようだ。私たちの人生において、私たちの友情は素晴らしいものである」

と述べています。

オバマ大統領が涙を拭きつつ述べているこの箇所は、動画で見ますと一層心を揺さぶられます。

スピーチ動画全体は51分という長いものですが、この感謝を述べた箇所は43分から始まりますので、ぜひ動画を見ていただきたいと思います。

こちらのYouTubeへの動画のリンクは、この場面から始まるようになっています。

スピーチ術について

スピーチ術についてforbesの記事(英語)が指摘していたのが、

  1. 笑顔であること
  2. ユーモアがあること
  3. 個人的なエピソードを盛り込むこと
  4. 同じ語り口の言葉を続けること/「3」の原則を守ること
  5. ジェスチャーを交えること

の5点でした。

1-3および5は分かりやすいですが、4点目についてちょっと説明したいと思います。

同じ語り口の言葉を続けること

少し長いですが、下記のようなスピーチがありました。

“Over the course of these eight years, I've seen the hopeful faces of young graduates and our newest military officers…I've seen our scientists help a paralyzed man regain his sense of touch. I've seen Wounded Warriors who at points were given up for dead walk again. I've seen our doctors and volunteers rebuild after earthquakes and stop pandemics in their tracks. I've seen the youngest of children remind us through their actions and through their generosity of our obligations to care for refugees or work for peace.”

ここでは、"I've seen..."というフレーズから始まっている箇所が、5箇所もあることが分かります。

日本語では例えば、

「私は考えます。○○であると。私は考えます。△△であると。私は考えます。××であると。」

というような語り口が該当しますね。

英語と日本語の違いはもちろんありますが、このような繰り返しのレトリックによって、聞き手により大きな印象を残すことができるようです。

「3」の原則を守ること

こちらは上記の「同じ語り口の言葉を続けること」に比べるとずっとシンプルです。

例えば下記のようなスピーチがありました。

“We remain the wealthiest, the most powerful, the most respected nation on earth”
“You believe in a fair, just, and inclusive America.”

述べている要素が上記のように一文の中でそれぞれ3つであるもの、そして

Yes, we can.”

そもそも単語が3つしか使われていないもの(オバマ大統領の最も有名なフレーズですよね)があります。

リンカーンの言葉として有名な

government of the people, by the people, for the people
人民の, 人民による, 人民のための政治

も同じようにこの3の原則を守っています。

繰り返しと同様、3という要素にこだわるレトリックにより、同じく聞き手に印象を残すことができるということです。

ちなみにトランプ大統領の選挙中のフレーズは”Make America Great Again”と4単語で構成されていましたね。

オバマ大統領の対談・インタビュー記事

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最近のものの中から私が興味深く読んだのが下記二つのものです。

内容は長いのですが共にオバマ大統領の深い洞察が示されており、思わず引き込まれる語り口になっています。共に日本語です。

(日本語)バラク・オバマが伊藤穰一に語った未来への希望と懸念すべきいくつかのこと

(英語)Barack Obama, Neural Nets, Self-Driving Cars, and The Future of The World

(日本語)大統領選翌日のオバマ大統領最後のインタヴュー:トランプの勝利、これからの自分

これらを読むと、対談・インタビュー記事であるため当然といえば当然ですが、冒頭に述べたような「同じ語り口の言葉を続けること」や「3の原則を守ること」などは守られていないことが分かります。。

練りに練ったスピーチだからこそ、非常に工夫しているということです。

ちなみにオバマ大統領のスピーチライターについては、Gigazineの「オバマ大統領の演説やジョークを書いたスピーチライターに迫る」が詳しいです。

ここで触れられているデビッド・リット氏以外にも、大統領就任演説をオバマ氏と共同で書き上げたことで有名なジョン・ファヴロー氏もいます。

最後に

オバマ大統領のスピーチは、言葉が明瞭で抑揚がはっきりし(アメリカ大統領は概してそうですが)、聞き取りやすいと思います。

そのスピーチの裏側には、実はいくつかのレトリックが潜んでおり、それがさらにスピーチを印象付けていました。

日本語でも使えるこのようなレトリックにどういうものがあるのか、きっと3の原則などは同様だと思いますが、調べてみようと思います。

オバマ大統領の退任が迫り、次期大統領にトランプ氏が就任するタイミングが近づくに連れて、アメリカではオバマ大統領を惜しむ声(そこには次期トランプ大統領に対する不安も込められていると思います)が大きくなっているようです。

いよいよトランプ氏が大統領に就任する1月20日以降、アメリカがどのようになっていくか、注目ですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今後もいろいろなエントリを書いていきますので、ぜひ読者登録をお願いします。