黄色いノート

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モバイルオーダー&ペイを使ったスターバックスのオムニチャネル事例とその意味

(読了7分)(2017/2/13追記)スターバックスはアメリカ全土の直営店にて、モバイルオーダー&ペイ(Mobile Order & Pay)というスマホアプリからスタバの商品を購入できる、事前注文・事前決済のサービスを展開しています。

最初は2014年12月にオレゴン州のポートランドで導入され、そこから北米地域に、そして全米に拡大されています。日本と中国でも2016年中に展開予定ということでしたが、日本国内に2016年にモバイルオーダー&ペイが展開されることはありませんでした。その原因と共に、このサービスを見ていきます。

モバイルオーダー&ペイ(Mobile Order & Pay)のサービス概要

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消費者はスタバのアプリ(無料)をスマホにダウンロードし、アプリ上で

  1. 注文するスタバの商品を決定
  2. 受け取るスタバの店舗を決定
  3. 決済をし、注文完了
  4. 店舗に受け取りに行く

という操作をして、事前注文・事前決済、そして店舗での受け取りをすることができます。

店頭にいないにもかかわらずスタバのコーヒーを事前注文・事前決済することができ、コーヒーを店舗に受け取りに行く(クリックアンドコレクトという方式ですね)という、このスタバのオムニチャネルの事例を見ていきます。

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アメリカでのモバイルオーダー&ペイの評判

店舗での行列に並ぶ必要が無く、店舗に到着する前に事前注文・事前決済できるこの新しいテクノロジーを利用したサービスは消費者からも好評で、こちらの記事によると、

  • アメリカのスタバの注文全体の25%がモバイルアプリによるもの
  • その中でも、6%がモバイルオーダー&ペイ(Mobile Order & Pay)
  • すなわち、注文全体の6%がアプリで事前決済されており、19%はアプリでその場で決済されている
  • よく利用されている上位600店舗では、最も利用されている時間帯では、注文全体の20%がモバイルオーダー&ペイでなされている(昨年に比べて3倍の伸び)

ということです。

店舗単位で見た場合、注文の20%が事前に決済されているというのはとてもインパクトの大きな数字ですね。

スターバックスのメリット

スタバのモバイルオーダー&ペイはこちらの記事によると昨年2015年の9月時点で全米7,400店舗以上の直営店舗で実施されていますが、他にもイギリスやカナダで実施されています。

  1. 店舗現場のオペレーション
  2. 顧客の囲い込み

という店から、スタバにとってのメリットを見ていきます。

店舗現場のオペレーション

モバイルオーダー&ペイ(Mobile Order & Pay)で事前に決済をしてもらえれば、店舗としては決済処理が無くなって効率的ですし、また店頭でも現金ではなくモバイルアプリを利用して決済してもらえれば、現金のやり取りに比べて手間が少なくなります。

またアメリカでは、スタバのコーヒーという小額のものを買うのにさえクレジットカードを利用しますが、このモバイルアプリで決済してもらうことによりスタバ側はクレジットカード会社への手数料を抑えることができているはずです。

アプリにチャージされている金額が10ドル未満になると、登録しているクレジットカードから自動的にチャージされるというのも、スタバにとっては注文される金額が大きくなるというメリットがあります。

日本でもスイカやパスモにオートチャージ機能がありますが、あれと同じですね。

顧客の囲い込み

また、顧客の囲い込みという要素も見逃せません。

例えばビジネスマンが職場近くにコーヒーを買いに行こうとしたときに、レジが混んでいるかもしれない別のチェーン店に行ってレジに並ぶリスクを取るよりは、事前に注文と決済ができるスタバのモバイルオーダー&ペイを使ってスムーズに店舗に受け取りに行くほうが効率的なのは間違いありません。

アプリがスマホのホーム画面にあり、顧客が他のコーヒーチェーン店よりもスタバを意識する回数が増える、ということも囲い込みに繋がります。

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こちらの記事の中でガートナーの調査結果から引用した

2019年までに、ブランド保有企業の20%は自社のモバイル・アプリを放棄する。

という点ですが、ますます多くの企業がスマホアプリをユーザーに提供するようになると、ユーザーも限られた画面上に置いて利用するアプリを厳選するようになり、自社でアプリを提供することを放棄する企業が出てくる、という予測です。

ユーザーに選ばれるアプリであり続けるためにも、このスタバのアプリのようにユーザーに具体的なメリットを与えることが必要です。

スターバックスのデメリット

一方、意外なことにデメリットもあります。デメリットは何かというと、ロイターの記事によると、

アプリ経由での注文の増加によってランチタイムの店舗が混み合い、業績に影響が出ている

ということで、店舗の現場のオペレーションにマイナスの影響が出ています。

上述のように、最も混雑する店舗の、最も混雑する時間帯では注文の20%がモバイルオーダー&ペイによるものとなっており、店舗の混雑を敬遠した顧客による売上ロスが発生しているという状態です。

多くのユーザーに利用されたがために売上ロスが発生してしまっているというのは皮肉な結果ですが、通常時の注文の多い時間帯(サラリーマンの休憩時間帯であるランチタイムなど)は比較的簡単に予測できるものです。

一方、小売にとっての宿命ですが、天候やイベントなど外部要因によって注文の多い時間帯が変動することは大いにあります。ただそのようなことも含めて、人員の時間帯配置の転換などによって乗り越えられるものだと思っています。

ハワード・シュルツCEOも、

ハワード・シュルツ最高経営責任者(CEO)は電話会議で「この問題の解決に重点的に取り組んでいる。ただ『需要が多すぎる』という問題の本質は過去にも解決したことがあり、今回も対処できると確信している」

と述べていますが、この最適な人員の時間帯配置などに関するロジックができた後に、日本や中国など、アメリカ・カナダ・イギリスなどに続いて各国に展開していくと考えられます。

消費者のメリット

モバイルオーダー&ペイ(Mobile Order & Pay)を利用することによって、混んでいる店内でレジの列に並ばず、店舗到着後すぐにコーヒーを受け取れるというメリットを享受できます。

またQuoraのこの投稿によると、

  • 今まで気付かなかったドリンクやサンドウィッチのメニューを知れる
  • 新しいドリンクのカスタマイズ方法を知れる
  • 前回のと同じメニューを簡単に注文できる
  • 注文を分けることによって、より多くのスター(*)を獲得できる

などのベネフィットがあるということです。

(*) アメリカではスターバックスは注文ごと(アイテムごとでは無い)にスターを顧客に付与し、一定以上のスターが貯まるとコーヒーなどと交換ができるロイヤリティプログラムを行っているようです。

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消費者のデメリット

一方デメリットとして挙げられていたのは

  • 店内の在庫状況と必ずしもリアルタイムに同期されていない(特にフード。アプリで購入を完了したが店頭に受け取りに行った際には売り切れになっていたものがあった)
  • アプリからの購買では前述のスターを利用して何かしらのリワードと交換することができない

という点でした。

1つ目は、おそらく店舗のオペレーションミスで、本来であればこのモバイルオーダー&ペイで注文が入った場合には、特にフードなどはレジに並んだお客に売らないように避けておく必要がありますが、それを怠ってしまった、もしくは混雑でできなかったのが原因ではないかと思います。

最後に

日本のスタバのアプリでは、レジでの支払いや入金、メニューの確認やチェックアウト機能がありますが、アプリをスマホにダウンロードして使う強いインセンティブがあったかというと、私の場合はそうでもありませんでした。

一方アメリカなどで導入されているこのモバイルオーダー&ペイは、ぜひ体験してみたいと思わせるサービスですし、一回利用すれば、上述のQuoraユーザーの投稿のようにさらに使いたくなる=スタバからすれば囲い込みに成功している、というオムニチャネルのよい事例だと思います。

日本でも早く導入されないか、待ち遠しいですね。

ちなみにオムニチャネルの他の事例は、先日訪問してきたイオンのリリモストア(幕張新都心店)と、ロコンドのもの(西武船橋店)を下記のようにそれぞれまとめていますので、こちらもよろしければご覧ください。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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