黄色いノート

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イオンモールでのリテール・オムニチャネル事例とその意味 - リリモストア

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(読了6分)イオンのオムニチャネル事例としては、店頭に無い製品をオンラインで購入し自宅・店頭受け取りを選べるタッチ&ゲット(海外ではクリック&コレクトという名称)などがありましたが、新しいオムニチャネルの事例として、「リリモストア」というポップアップストア(上部の写真になります)がイオンモール幕張新都心店にオープンしていました。

イオンのオムニチャネル戦略の一環として半年ほど前の5/24からオープンしているリリモストアが11月末までの開催ということで、先日行ってきましたのでまとめます。

そもそもオムニチャネルとは

オムニチャネルとは、

顧客に対して、実店舗・オンラインショップを問わず、あらゆるチャネルにおいて同じ(購入)体験を提供しようとする試み

ということを示します。

これには、例えば

  • 実店舗には在庫があるが公式オンラインショップでは在庫切れとなっている(その逆も然り)といった事象を無くす
  • 製品の受け取り場所を顧客が好きに指定できるようにする(店頭でも通販サイト上でも、自宅・コンビニ・店頭配送などを選べる)

という意味が含まれます。

オムニチャネルの実現には高度に洗練された物流システム(Logistics)及び、実店舗にて接客販売をする従業員の評価方法・オペレーション負担など、多岐にわたる考慮が必要となります。

様々なオムニチャネル事例がありますが、今回はイオンのオムニチャネル戦略の一環としてのリリモストアを見てみます。

イオンのオムニチャネル事例であるリリモストアとは

イオンは2014年12月ごろより、

lilimo.jp

という情報サイトを運営しています。

こちらにはいろいろな製品が詳細説明と共に掲載されており、それぞれの製品からaeon.comに遷移することでウェブ上で購入することができます。

このリリモストアは、

  • 製品が展示されているが、その場では購入できない(在庫が無い)
  • 製品の横に置いてあるQRコードを読み取るとlilimo.jpの各製品ページに遷移
  • 製品詳細を読み、気に入ればaeon.comから購入可能

という仕組みになっています。

コンセプトはこのように説明されており、

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詳細はパンフレットにこのように説明されていました。

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店頭に在庫が無い製品をオンラインで購入し、自宅・店頭受け取りのどちらかを選べるタッチ&ゲットというイオンのオムニチャネルの事例が既にありますが、こちらは「店頭には在庫があり、その場所をショールームのように利用してオンラインで購入してもらう」という別の切り口のオムニチャネルの事例となります。

リリモストアの場所

広大なイオンモール幕張新都心店の3F、グランドモールの直営店(イオンスタイル)の目の前に、ポップアップストアとして設置されていました。

ちなみにイオンモール幕張新都心店へは、最寄り駅である海浜幕張駅から無料(時間帯によっては100円)のバスが出ています。

リリモストアの対象製品

製品数は4-50程度でした。

製品は

「日本再発見」をコンセプトに、食とモノ、2つのテーマで全国各地から選りすぐりの品を集めました。

ということで、全て日本製でした。

買い物客の反応

私が訪れたのは平日の15時ごろだったのですが、イオンモール全体の客層としては

  • 3-40代の主婦(子連れ含む)が6割以上
  • 大学生のような若い女性が1割ぐらい
  • 残りが様々な年代の男性
  • シニアはあまりいない

という印象でした。

こちらのポップアップストアの周りにしばらく滞在したのですが、直営店のイオンスタイルの目の前にきれいに設置してあったため、1分当たり2-3人が足を止めて見ていました。

土日などでイオン全体のトラフィックが増えれば、より多くの人が足を止める場所です。

一方、それはリリモストアの仕組みに興味を引かれてということではなく、そのしつらえや「日本の職人の技による製品」ということが素敵に表現されていたためだと言えます。

それは、私が滞在していた20分ぐらいの間に、製品横に置いてあるQRコードが記載されているカードを自発的に手に取ったのが数人、スタッフからカードを手渡されたお客さんがもう少し多かったですが10人未満、というところからも伺えます。

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カードは下の画像のようになっており(2枚並べて撮ったもので、それぞれの表裏です)、1枚あたり縦9cm、横5.5cmのカードにQRコードが記載されています。そのQRコードからlilimo.jpのサイトに飛ぶという仕組みです。

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私が感じたこと

リリモストアは綺麗にしつらえてありましたし、そこに並べてある製品もなかなか素敵でした。

しかし、

「膨大な数の製品があり、そこにある製品は当然ながら何でも買って持ち帰れる」

というイオンモールの中にあって、

「その場に実物があるのに在庫が無く、それを買って持ち帰れない」

という仕組みには違和感がありました。

おそらく、イオンモールの中にではなく、路面店的なポップアップストアであれば、「ここはそういうショールーム的な場所なんだな」というように予め認識するので上記のような違和感は小さいかと思うのですが、イオンモールの中にあるためにこのように強く感じたのだと思います。

実際に他のお客さんでも「ここで買えないの?」というように聞いていた方が複数名いて、全員がQRコード付きのカードは受け取っていませんでした。

そのため、せっかく足を止めて製品に興味を持った消費者に対して、イオンのオムニチャネル戦略は残念ながら有効に機能しなかった、ということが分かります。

今後のイオンのオムニチャネル事例について

スタッフに尋ねたところ、こちらのリリモストアは11月末に終わる予定で、今後の展開は未定とのこと。

イオンとしては顧客をオンラインでもオフラインでも囲い込みたいはずで、今回のリリモストアのオムニチャネル事例もそれを目的としています。

しかし実際に体験してみたところ、

  • 購入へのハードルの高さ(QRコードを読み取り、会員登録をし、購入プロセスを行う)
  • 製品が目の前にあるのに購入できないことの違和感

という点がオムニチャネルの実現に大きな障壁になっていることを感じました。

「QRコードを読み取る」という行動はとても簡単ですが、消費者はよっぽどのメリットやインセンティブが無いと、そういう行動すらしてくれないものです(実際、私も「素敵だな」と思った製品があったのですが、こうやって記録に残すという目的が無ければアクセスしていたかどうか、怪しいところです)。

イオンも今後、これらの課題に何かしら対処した形で、次のオムニチャネルの打ち手を打ってくるのではと思います。

オムニチャネル実現における、リアル/オフラインからオンラインへの繋ぎの難しさを改めて感じた体験でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今後もいろいろなエントリを書いていきますので、ぜひ読者登録をお願いします。

2016/12/5 追記

イオンのオムニチャネル事例に続き、同日に見てきたロコンドのオムニチャネル事例も下記にまとめましたので、よろしかったらご覧ください。

yellowpad.hatenablog.com