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黄色いノート

ネット通販/EC、新技術、仕事など、いろいろ書いています

(グラフ)日本のEC市場規模およびEC化率の推移(2007年から2016年)

(読了9分)2017年4月28日更新。日本国内のEC市場規模およびEC化率の推移を2007年から2016年までまとめてグラフにしました。今回まとめたのはBtoCのEC(Ecommerce:電子商取引)の市場規模および小売全体に占めるECの比率の推移となります。

日本国内BtoC - EC市場規模およびEC化率のグラフ

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年度 EC市場規模 前年比(成長率) EC化率
2007 5.3 - 1.5%
2008 6.1 +15.1% 1.8%
2009 6.7 +9.8% 2.1%
2010 7.8 +16.4% 2.8%
2011 8.5 +9.0% 3.2%
2012 9.5 +11.8% 3.4%
2013 11.2 +17.9% 3.9%
2014 12.8 +14.3% 4.4%
2015 13.8 +7.8% 4.8%
2016 15.1 +9.9% 5.4%

データソース
経済産業省の調査
通販新聞

2015年のEC市場規模は13兆7746億円、前年比+7.6%の成長

2015年のBtoCにおける日本国内のEC(電子商取引)市場規模は13兆7746億円であり、前年比では7.6%の伸び率となっていました。ここでのEC市場規模は、物販系分野、サービス系分野、デジタル分野の合計となっています。

EC市場規模は順調に右肩上がりとなっており、市場が拡大していますが、成長率(前年比)も同様に右肩上がりとなっているかといえばそうではなく、2013年は前年比+17.4%と高い成長率であったものの、2014年は+14.6%、2015年は上述のように+7.6%となっており、伸びが緩やかになっていることが分かります。

2016年も、アマゾンや楽天、ヤフーショッピングやゾゾタウンなどの大きなプレーヤーに引っ張られる形でオンラインショッピングの市場規模が伸びていることは確実ですが、その成長率が切り返して高い数字になるのか、それともさらにスローダウンしているのか、来年の調査発表が楽しみです。

2017年4月28日追記:経済産業省の発表によると、2016年のBtoCのEC市場規模は前年比+9.9%であったということで、再び成長のペースが上がっています。次章にてもう少し触れます。

EC市場規模が伸びているのは大きなプレーヤーの力によるものだけでなく、スマホ・タブレットの浸透やオンラインに適した決済手段の充実化、また多くの事業者がオムニチャネルに取り組んでいることなどのインターネットの環境変化を要因としています。

オムニチャネルとは、「顧客に対して、実店舗・オンラインショップを問わず、あらゆるチャネルにおいて同じ(購入)体験を提供しようとする試み」ということを示します。多くの業界において物流をきちんと整備し、売上をオンライン・実店舗の双方から上げようという戦略が描かれています。

2016年のEC市場規模は15兆1358億円、前年比+9.9%の成長

2016年のBtoCにおける日本国内のEC(電子商取引)市場規模は15兆1358億円であり、前年比では9.9%の伸び率となってたことが経済産業省により発表されました。

EC市場の成長率は2015年に前年比+7.6%と、2014年の前年比+14.6%からスローダウンしていましたが、2016年は前年比+9.9%と再び成長のペースが戻ってきています。この流れが今年も続いていくのか、注目です。

2016年のEC市場規模は15兆円を突破しましたが、2010年の市場規模は7兆7880億円であり、この6年間でおよそ倍の市場規模に成長したということになります。

野村総研のEC市場予測(2022年まで)

野村総研が出していた「2022年度までのICT・メディア市場の規模とトレンドを展望」というレポートによると、2017年以降、EC市場の伸び率は毎年+8%になり2022年度には26兆円に達する見込みとしています。
※2015年の数字が、経済産業省のものでは13.8兆円、野村総研のこちらのレポートでは15.4兆円と差異があるのですが、どこまでを統計の対象にするかという違いに起因するものだと思われます。
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年度 EC市場規模 前年比(成長率)
2014 13.8 -
2015 15.4 12%
2016 16.5 7%
2017 17.8 8%
2018 19.2 8%
2019 20.7 8%
2020 22.3 8%
2021 24.1 8%
2022 26.0 8%

2015年のEC化率は4.75%

EC化率とは、商取引の内に占める電子商取引(Electric Commerce = Ecommerce)の割合を指す言葉です。この率が高ければ高いほど多くの取引がオンライン上で行われ、率が低ければ低いほど、多くの取引がオフラインで行われている、ということになります。

EC化率の4.75%(こちらは物販系に絞った場合です)から考えると、まだまだECの成長の余地があることが分かります。

このEC化率は業界・ジャンルによって大きく異なっていて、

  • EC化率が最高のジャンルは「生活家電、AV機器、PC・周辺機器など」の28.34%(市場規模は1.31兆円、成長率3.1%)
  • EC化率が最低のジャンルは「食品・飲料・酒類」の2.03%(市場規模は1.32兆円、成長率10.5%)

というように、業界・ジャンルによって大きな開きがあります。

自分の消費行動を振り返ってみても、家電など型番商品はネットで買うことが多いですし(同じくネットで買うことが多い書籍も、EC化率が21.79%と高いジャンルです)一方食品は近所のスーパーなどを利用することがほとんどです。

しかしこちらの「食品・飲料・酒類」ジャンルは成長率が10.5%と全ジャンル中1位となっていて、その要因としてはネットスーパーの普及が考えられます。

Amazonパントリーが2015年9月15日に始まっていますが、2015年はまだそれほど大きなインパクトをもたらしていなかったのではないかと思います。

各国のEC化率

日本では4.75%となっているEC化率ですが、他国はどうなっているのか、海外にも目を向けてみます。

eMarketerが2014年12月にこちらの記事でこのような資料を掲載しています。
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これによりますとEC化率が世界でもっとも高い国はイギリスで14.4%、2位に中国12.0%、3位にフィンランド10.4%となっており、アメリカは8位で7.1%日本は10位(この資料では5.4%)となっています。

各国によってだいぶ開きがあることが分かります。

日本と同様の島国であり、かつ日本よりも国土が狭い(2/3程度)イギリスで、14%を超えるほどのEC化率があるのは驚きでした。国土が狭いということは相対的に商圏にアクセスしやすく、EC化率は低いかと思っていました(もちろん国土に占める人口比もありますね)。

イギリスはClick & Collect (クリックアンドコレクト)という、「オンラインで注文した製品をリアルな店舗にて受け取る」というサービスの発祥国でもありますが、例えばこのサービスはイギリスのEC化率をより高めているに違いません。

米国が8位で7.1%と意外に低いのは、やはり広大な国土を擁しているためと考えられます。そのアメリカでは、ユーザーがオンラインショッピングを行おうとする際に最初に使うのがグーグルではなくアマゾンである、という調査結果も出ているのですが、動きの早いインターネット業界は目が離せませんね。

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インド・インドネシアは共にEC化率が1%に満たないなど、意外にEC化がまだ進んでいないことがわかります。インドネシアは多くの島によって成り立っているため、物流という点でも難しさがあるのかもしれません。シンガポールやマレーシアなどの他の東南アジア諸国のデータも見たいところですね。

スマホのシェアは27.4%

2015年の物販のBtoCのEC市場規模は7兆2,398億円でしたが、そのうちスマホ経由の購買金額は1兆9,862億円と、27.4%を占める規模になってきています。※上記の13兆7746億円というEC市場規模は、物販系分野、サービス系分野、デジタル分野の合計です。

サイトへのアクセス別デバイスでは、多くのジャンルにおいてモバイルが半分以上を占めるようになってきているので、この数字はますます伸びていきます。

ちなみに、アクセスは過半数を超えているにも関わらず購買金額のシェアが3割に満たないのは、

  • スマホからの購買転換率の低さ
  • スマホからの購買における注文単価の低さ

の2つが大きな要因として存在します。こちらについてはまた書きたいと思います。

最後に

成長率の伸びが緩やかになってきているとはいえ、市場規模自体が着実に成長し続けていくというトレンドは、これからも変わりません。医薬品など特定のカテゴリーにおいては規制によってこの市場を活用しきれていない業界・業種も存在しますが、これから少しずつ発展していくはずです。

最近急成長しているフリマアプリもCtoC市場規模を広げており、BtoCとは違いますがこちらも興味深いです。

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また、日本のEC市場に大きな影響を与えているアマゾンですが、そのプライム会員数の推定を行った記事もありますので、こちらもご興味がありましたらお読みください。

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コンビニオーナー(経営者)として独立開業する前に、フランチャイズ契約の吟味。

私の結論から書くと、「土地と建物を自分で用意できないのであれば、コンビニのフランチャイズ契約は結ぶべきではない」となります。

コンビニオーナーになる最も手早い方法は、セブンイレブンやローソンなどとフランチャイズ契約を結び、フランチャイジー(加盟者・加盟店)になることです。

一方セブンイレブンやローソンの商標や商品・物流システムなどを利用するために、ロイヤリティをフランチャイザー(本部)に支払う必要があります。

それはその通りなのですが、「コンビニが電子タグを導入し、レジ作業と物流を効率化する」というエントリを書いた際にコンビニについて検索しているうちに、「セブン-イレブンが加盟店のロイヤリティを引き下げ」という記事を読みました。

コンビニのロイヤリティが高そうだということは思っていましたが、記事を読んでいくと「粗利の43%をセブンに支払うことになる」「粗利の70%以上を支払う契約も」という衝撃的な内容でした。

そんなに高いの!?というのが正直な感想です。

粗利の40%~70%が手元から無くなる(フランチャイザーである本部にロイヤリティとして支払う)というのはオーナーにとってものすごいことですので、調べていったことをまとめました。

参考記事:セブン-イレブンが加盟店のロイヤリティ引き下げ コンビニのビジネスモデル変える?

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ロイヤリティとはそもそも何か

ロイヤリティ(ロイヤルティやフィー、また(揶揄する意味を込めて)上納金と呼ばれたりしています)とは、加盟店(フランチャイジー)が、本部(フランチャイザー)が用意する商標や商品や物流の仕組み、経営やトレーニングのノウハウやマニュアルを利用する権利に対して支払う対価となります。

フランチャイズ制度の基本を支える仕組みです。

ロイヤリティの算出方法はいくつかありますが、コンビニ大手が採用している最も一般的な方式は「加盟店の売上総利益(粗利益)に一定の率をかける」というものです。

その率が驚くほど高かったというのがこのエントリを書くきっかけとなりました。

ロイヤリティを引き下げた業界最大手のセブンイレブンは全国に約19,000店舗ありますが、その中で直営方式(セブンイレブンの社員がオーナーとなって運営)となっているのは全体の数パーセント、500店舗ぐらいしかありません。

残りの大多数の店舗には、それぞれに独立したオーナーがいて、セブンイレブンとフランチャイズ契約を結んでロイヤリティを支払っています。

ロイヤリティは何に使われているのか

フランチャイジーである加盟店がフランチャイザーである本部に支払うロイヤリティですが、このロイヤリティは思いつくだけでも以下の内容に使われています。

  • 新商品の開発
  • 新商品やブランド自体の宣伝
  • 新サービスの導入(公共料金支払いの仕組み、など)
  • POSに代表されるシステムの構築
  • 商品が補充される物流
  • マニュアルやトレーニングの整備
  • スーパーバイザー(本部の指導員)による指導

などなど。。

個人がいきなりお店を開くのに比べ、これらの既に確立された仕組みを使うことができるという、圧倒的に有利な条件が揃っています。

品揃えや価格などを考えても、個人商店(個人商店自体がコンビニに鞍替えをしていて、少なくなりましたが)とセブンイレブンが並びあっている場合には、セブンイレブンに足を運ぶ消費者が多いはずです。

なぜ足を運んでくれるか=集客できるのかといえば、それは加盟店が支払うロイヤリティを元に、セブンイレブン本体が消費者に訴えかける新商品を開発し、商品やセブンイレブン自体を宣伝しているからに他なりません。

そう考えると、料率はともかくロイヤリティという仕組み自体は納得ができるものです。

セブンイレブンのフランチャイズ契約タイプ

セブンイレブンジャパンのページより、契約タイプは大きく

  • Cタイプ:土地・建物はセブンイレブンが用意
  • Aタイプ:土地・建物はオーナーが用意

と2つに分かれています。

ロイヤリティは「セブンイレブンチャージ」という名称となっていて、Cタイプは変動するためか記載がないのですが、Aタイプで「売上総利益(粗利)の43%」という記載があります。

普通に考えて、Cタイプの方がAタイプよりも条件がよいことはありえないので、冒頭の記事にある「粗利の70%以上を支払う契約も」という話も現実味があります。

※売上総利益(粗利)は、売上高から売上原価を差し引いた利益のことです。こちらのサイトの図が分かりやすいので貼らせていただきます。

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出典:収益性分析の指標

セブンイレブンオーナーになった場合の収支予測

セブンイレブンが公表している数字より、セブンイレブンの一日の売上平均(平均日販)は、65万円となっています。

ローソンやファミリーマートの50万円程度という平均日販よりもだいぶ大きくなっており、セブンイレブンでオーナーとなることの魅力の1つとなっています。

ただ、この65万円という数字は新規店と既存店を分けていないので、新規店はもう少し低いはずです。50万円として計算します。

■月の売上
50万円 x 30日 = 1500万円

■原価率
70%と設定

■粗利益(=売上総利益)
1500万円 x (100% - 70%)= 450万円

■ロイヤリティ

  • Cタイプ(70%)の場合:450万円 x 70% = 315万円
  • Aタイプ(43%)の場合:450万円 x 43% = 194万円

■オーナーの手元に残るはずのお金

  • Cタイプ(70%)の場合:450万円 - 315万円 = 135万円
  • Aタイプ(43%)の場合:450万円 - 194万円 = 256万円

という計算になりました。

あれ、意外にCタイプでもAタイプでもオーナーの手元にお金が残るな、と思ったらこちらは大間違いで、実はここから、家賃・光熱費・人件費・廃棄費・雑費を差し引いたものが、本当にオーナーの手元に残るお金なのです。

■人件費(時給800円 x 24時間 x 2人 x 30日)
115万円

■家賃(日販50万円をできるぐらいの優良な場所)
20万円

■光熱費(総額20万円として、本部が8割を負担するので実質4万円)
4万円

■廃棄費・雑費
5万円

■合計
144万円

ここでは人件費をかなり適当に計算しましたが、実際には1時間あたり2人もシフトに入ることはできなく(人件費が高い深夜など)、オーナーが代わりに店頭に立たざるを得ません。

しかしなんとそれでも、Cタイプの場合の想定では、

■オーナーの手元に残るお金
135万円 - 144万円 = -9万円

マイナスになってしまいます。。。

人件費の想定や、家賃・光熱費などの想定がおかしいのかもしれませんが、いずれにせよ家賃の20万円の有無が計算に大きな影響を及ぼしています。また、実際にはマイナスにならないよう、最低保証という仕組みがあります。

仮に自分で土地・建物を用意するAタイプであれば、家賃負担がないため、

256万円 - 124万円(20万円の家賃が無いため) = 132万円

と、今度は大きな金額が手元に残ることになります。

AタイプはAタイプで大きな金額が残りすぎのように思うため、実際には上記の想定よりも家賃・光熱費・人件費・雑費の負担は大きいのだろうと考えます。

そうすると、「Cタイプは人件費を抑制するために、オーナーが出来る限り店頭に出なければならない」という仕組みになります。

結論

私は番組を見ていないのですが、去年2016年11月に(「好調」コンビニに“異変”あり)という番組が放送されていたようです。

その放送を受けて、コンビニオーナーの過酷な労働と年収200万円台を訴えた記事がありましたが、実際に自分で計算をしてみて、さもありなんと思いました。

このエントリではセブンイレブンの事例ですが、とにかくポイントとなるのは「土地と建物」だということが分かりました。これを自分で用意できるか、用意できないかでまったく違う世界になります。

またフランチャイザーである加盟店は、そのお店への独自の集客方法を基本的に持たなく、フランチャイザーである本部任せであるというのも懸念点です。

さらに、業績のよい加盟店のすぐ近くに同様の加盟店や直営店を出店させる、という厳しい話も見聞きします。

コンビニオーナーとなって独立開業する際には、フランチャイズ契約をとにかく吟味して考えることが必要ですし、私は試算結果からも「土地と建物を自分で用意できないのであれば、コンビニのフランチャイズ契約は結ぶべきではない」と考えます。

冒頭でも触れた、大手コンビニがRFID(ICタグ)を全店全商品に導入するというエントリはこちらになります。よろしければ合わせてお読みください。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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コンビニ電子タグ1000億枚宣言。セルフレジとの違いや小売・消費者への影響

先日RFID(無線自動識別技術)について、仕組みやICタグとの違いなどを調べましたが、コンビニがICタグを利用してレジ作業および物流の効率化を図ろうとしているという記事を読みました。

前回はユニクロ・ジーユー・ZARAなど、アパレルの事例を調べたのですが、コンビニはより身近ですし、自分にもインパクトもあるなと思いこちらのニュースについて記事を書きます。

参考:
2017年4月18日:「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を策定しました~サプライチェーンに内在する社会課題の解決に向けて~(経産省)

2017年4月18日:全コンビニに無人レジ 大手5社、流通業を効率化

ICタグを導入するコンビニ大手5社および、業界内でのシェア

そもそもになりますが、導入する大手5社とは「セブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、ニューデイズ」を示しています。

それぞれの規模を知るために、こちらのサイトを参考にして店舗数をまとめると

セブンイレブン:(19,165店舗)
ファミリーマート:(18,185店舗)
ローソン:(12,839店舗)
ミニストップ:(2,247店舗)
ニューデイズ:(500店舗未満)
合計:(52,936店舗)

というようになります。

ファミリーマートはサークルKサンクスと2016年9月1日に経営統合したため、店舗数を大きく伸ばして業界2位となっています。

JRの駅中にあるニューデイズは、「500店舗体制の確立」という文言がJRのHPに掲載されていました。

ちなみに日本フランチャイズチェーン協会の資料によると、

2017年2月時点で、コンビニは全国に54,922店舗

ということなので、上記の大手5社(と言ってもセブンイレブンとニューデイズでは大きな違いがありますが)で、実に96%を占めていることになります。

これだけの規模を占める大手が参加するため、日本のコンビニ業界を変える取り組みと言えます。

コンビニ電子タグ1000億枚宣言

経産省のサイトに掲載されている「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」ですが、この1000億枚というのは、この5社が年間に取り扱う商品数(推計1000億個)全てにICタグを付けるという規模の想定です。

民間が入るということもあり、きちんと期日が入っているのもよいですね。

  • 全商品1000億個について、2025年までに取り扱う
  • 2018年を目処に特定の地域で実験を始めること

と宣言されています。

一方、この1000億枚宣言には下記2点の留保条件があります。

  • ICタグの単価が1枚1円以下になること
  • ソースタギング(メーカーが商品に電子タグを付けること)が実現し、ほぼ全ての商品をRFID(無線自動識別技術)管理できるようになること

というものです。

現在のセルフレジとの違い

すでに一部のスーパーにもセルフレジがあり、店員を介在せずとも消費者が直接商品を会計することができるようになっています。

しかしこれらのものはバーコードを利用しており、バーコードが付いた商品を1点1点、バーコードリーダーにかざして読み取る必要があります。

今回のコンビニ電子タグ1000億枚宣言で実現しようとしているのは、商品1個1個にバーコードでなく電子タグ(ICタグ)を添付するというものなので、消費者は商品を1点1点を手に取る必要は無く、かごごと会計ができるようになります。

商品がいくつあっても同時に読み取ることができるので、会計が瞬時に終わるというのも大きなメリットです。

私は体験したことが無いのですが、一部の図書館でもICタグを本やCDに添付し、貸し出しや返却を一瞬で終わらせるというシステムを導入しているところがあるようで、例えば「ICタグ図書館管理システム(UHF帯RFIDを利用した自動貸出/蔵書点検/BDS)」というものがありました。

RFIDとバーコードの違いは、経産省のこちらの資料が分かりやすいので貼らせていただきます。

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出典:経産省(PDF)

RFIDタグ(ICタグ)および読み取り装置に与える影響

RFIDタグ(ICタグ)には、電池を貯蔵しているアクティブタグと、電池を貯蔵していないパッシブタグの2種類があります。

このコンビニの取り組みで利用しようとしているのはパッシブタグとなり、こちらは安価に量産(1枚あたり10円以下)できるようになったこともあって最近注目を集めています。

5年ほど前は、1枚あたり100円程度かかっていました。

そして今回のコンビニ取り扱いの1000億個にICタグを添付するためには、その実現条件としてこのパッシブタグの価格が1枚あたりさらに下がって1円以下になる必要がある、としています。

仮に1枚1円になったとしても、1000億個の商品に添付するので単純計算で1000億円のインパクトが業界に(しかも毎年)発生します。

また53,000店舗全てに読み取り装置(リーダー・ライター)も導入するので、その金額も一時的にですが発生します。

1店舗平均2台を置くとして、1台あたり100万円とすると、こちらも1000億円の需要が発生します。

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メーカー、物流、小売、消費者それぞれへのメリット

商品1つ1つにRFICタグ(ICタグ)を添付することで、メーカーにも物流にも小売にも、そしてなにより消費者にもメリットがあります。それぞれのメリットを見ていきます。

メーカーのメリット

従来のバーコードでは、同一商品については、それぞれの識別ができませんでした。

「いくらおにぎり」と「たらこおにぎり」は、違うバーコードが張られるために識別できますが、「いくらおにぎり」が5個あった場合、その1つ1つの識別ができません。

RFIC(ICタグ)は、この「いくらおにぎり」それぞれに違う識別子を与えることができるため、より詳細な商品管理ができます。

具体的には、欠陥があった商品などの追跡が容易になります。

またスマートシェルフ(棚自体がRFIDの読み取り装置)の利用と合わせれば、「どの商品が手にとられたか」「それが買われたか、買われていないか」も追うことができます。

より詳細な分析ができるため、これは小売のメリットでもあります。

物流のメリット

棚卸しの作業が効率的になること(これもスーパーのレジの事例と同じですが、検品者が1つ1つ製品を手に取る必要がなく、棚に対してリーダーをかざせばよい)および、商品がどこを動いているかという配送情報の追跡が簡単になることがメリットです。

小売のメリット

上述の詳細な分析に加え、レジの人員削減ができることが大きなメリットです。

この「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」でも触れられていましたが、背景として小売業全体が抱える「人手不足および労務コストの上昇」という問題があります。

消費者がセルフレジでレジ業務を対応してくれれば、レジの人員削減ができます。

消費者のメリット

レジ作業が圧倒的に早くなる、というのが最大のメリットです。

2025年までには電子マネーもますます普及していることでしょうし、それこそ駅で自動改札を通るときのように、商品かごをレジに置いてEdyやSuicaをかざしてすぐにお店を出て行く、ということも可能になりそうです。

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RFIDを使わないレジ無しスーパー(コンビニ):Amazon Go

Amazon Goという、アマゾンが発表したレジ無しのスーパー(コンビニ)が2016年末に大きなニュースとなりました。

ここで触れてきたようなRFIDは利用せず、画像認識技術や音声認識技術などでレジ無しを実現しています。

Amazon Goの仕組み。「カメラとマイク」で実現するレジなしスーパー。

※特許にはRFIDにも言及しているものの、Amazon GoではRFIDは利用していないとのこと

RFIDタグが廉価になるのに時間がかかると見込んだのか、それともこちらの画像認識技術や音声認識技術の方がより優れたソリューションを提供できると考えたのか、恐らく後者だと思いますが、同じ目的(レジ無し)でも、各社が様々な手段を使って実現させようとしているのがおもしろいところです。

最後に

商品にRFID(ICタグ)を添付する動きは、このタグの価格が下がっていくにつれて、またそのタグを商品に効率的に貼り付ける方法が確立するに連れて、どんどん広がっていくと考えられます。

一部地域では2018年に取り組みを始めるということなので、期待しながらニュースを追っていきたいと思います。

RFIDに関しては、仕組みやICタグとの違い、アクティブタグやパッシブタグについて、および仕組みなどを調べましたので、こちらの記事もご覧ください。

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